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医師・医療関係者のみなさまへ
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府医ニュース
2024年10月16日 第3087号
大阪府医師会役員と府医勤務医部会役員との懇談会が9月5日夕刻、府医会館で行われた。今回は地域医療構想に焦点を当て、江澤和彦・日本医師会常任理事の基調講演を企画したほか、病院・診療所の立場から発表があり、意見を交わした。
杉本圭相理事の司会で進行し、はじめに中尾正俊会長があいさつ。地域医療構想策定には医師会の関与が重要になるとし、「開業医・勤務医が一致団結して互いの強みを共有したい」と述べた。
引き続き、杉本理事と清水智之理事が座長を務め、江澤・日医常任理事による基調講演が行われた。その後、3題の発表がなされた。
江澤和彦・日本医師会常任理事はまず、自身が参画する厚生労働省「新たな地域医療構想等に関する検討会」での審議状況を報告。2040年頃を見据えて医療提供体制、病床機能分化、在宅医療を含めた「幅広い内容を議論している」と述べた。
これまでの地域医療構想の現状と課題を踏まえ、新たな地域医療構想へ向けての方針も示した。必要病床数よりも「病棟機能の見える化」や構想区域を規模に応じて分割・合併することが重要だと語った。その上で、地域特性を踏まえて「地域の裁量を拡大すること」が大切だとした。
新井基弘氏(勤務医部会常任委員)は、「地域医療構想実現に向けての現状と課題――将来の医療・介護需要拡大を見据えた医療と介護連携の強化」と題して説示。自院の三島二次医療圏の人口推移などを示しながら将来的な課題を示した。その上で、医療・介護連携が強化できるよう診療報酬改定等の見直しが必要だと加えた。
辻正純氏(東淀川区医師会長)は、「地域医療構想とかかりつけ医と地域包括ケアシステム」と題して講演。2040年問題を踏まえ、医療・介護連携は一層重要になると説いた。地域包括ケアシステム構築には、医療が地域に目を向け、「多職種を理解し、協力することが必須」と語り、日常診療の中で地域包括ケアを啓発することが大切と結んだ。
長谷川順一氏(勤務医部会常任委員)は、「医療と介護の連携」について見解を示した。大阪府内の二次医療圏の概況に触れる中で、地域の実情に応じた医療資源の振り分けが急務と強調。ポスト2025年を考慮した地域包括ケアシステムの構築が必要とした。
各氏からの発表後、活発な意見交換が展開された。