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府医ニュース
2024年10月2日 第3086号
大阪府医師会は、例年、大阪府・大阪市の次年度予算編成に際し、「府民の健康を守る専門団体」として健康施策関連予算の確保を要望している。8月21日に大阪府、8月30日に大阪市に対して、中尾正俊会長が要望書を手交した。
大阪府・大阪市への要望に先立ち、中尾会長があいさつ。まず、7月に第11波を迎えた新型コロナウイルス感染症を巡る問題として、特に陽性となった高齢者が、抗ウイルス薬の経済的負担が大きいことを理由に、安価な対症療法薬を選択して重症化する現状を憂慮した。あわせて、今後の新型コロナ対応や日常診療の維持には、65歳未満の医療・介護職員のワクチン接種費用に対する補助が不可欠と強調。5類移行に伴い高額となった自己負担への配慮を要請した。また、府医が行政事業を受託する上で、物価や人件費などの高騰を背景に、各事業費への一律増額を求めた。そのほか、骨太方針2024や財政制度等審議会による春の建議に触れ、医療現場を取り巻く環境は非常に厳しいが、国に要請しながら行政と連携し、適切な医療が提供できるよう取り組みたいと述べた。
8月21日午後、中尾会長、加納康至・阪本栄・宮川松剛副会長、栗山隆信・清水智之理事が大阪府庁を訪問。冒頭に、中尾会長から吉村洋文知事(渡邉繁樹副知事が代理)へ7年度予算の編成に対する要望書が手交された。
続いて加納副会長が、▽府民の健康づくりのための各種施策▽がん検診受診率の向上およびがん医療提供体制▽大阪府医療計画▽在宅医療対策▽災害や関西万博に向けた救急医療体制▽新興感染症対策▽学校現場での諸課題――など33項目にわたり強化・推進を求めて詳説した。
渡邉副知事は、新型コロナに対する医療提供体制の整備・充実への協力や、積極的な情報発信に謝意を表した。また、第8次医療計画や感染症予防計画に触れ、有事への備えを行い、府民が健康で安心安全な生活が送れるようさらに尽力したいと結んだ。
8月30日午後、中尾会長、加納・阪本・宮川副会長、栗山・清水・澤井貞子理事、辻正純・大阪市医師会連合会長(東淀川区医師会長)が大阪市役所で、横山英幸・大阪市長(山本剛史副市長が代理)に要望書を手交した。
要望内容は25項目に及んだ。加納副会長が、▽市民の健康づくり▽精神保健福祉施策▽少子化対策▽高齢者対策▽小児の医療的ケア▽災害時の医療救護体制▽感染症に対する危機管理▽予防接種の推進▽学校現場への対応――など施策の充実を求めて詳述した。辻市医連会長は、コロナ禍で多発した保健所の対応の遅れを引き合いに、各区保健所の復活などを訴えた。
要望を受け山本副市長は、関係部局と共有を図り、9月から始まる予算編成でしっかりと審議していきたいとの姿勢を示した。
なお、両日とも府医からの予算要望終了後、大阪府地域医療推進協議会(協議会長=中尾・府医会長)が府・市幹部と懇談を実施し、要望書を手交。各加盟団体の代表らが、次年度予算編成に向けて要望を伝えた。