TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ

調査委員会だよりNo.118

ACPって伝わりにくい!?

府医ニュース

2024年10月2日 第3086号

 「在宅医療」が国の施策として推進されて久しいが府民にはどの程度理解されているのだろうか。本年3月に行った府民調査での在宅医療に関する用語の認知度から考察してみた。
 「よく知っている」「まあまあ知っている」との回答が50%を超えていたのは多い順に「訪問介護」57.3%、「ケアマネジャー」55.9%、「介護保険」53.3%、「訪問看護」53.2%、「往診」52.8%、「訪問診療」50.9%であり、以下「訪問リハビリ」45.3%、「介護度」37.2%、「地域包括支援センター」36.6%、「主治医意見書」27.1%と続いた。「ACP」「レスパイト入院」の認知度は各々12.5%、13.9%とかなり低く「全然知らない」が50%を超えていた。
 特にACPに関しては大阪府医師会が周知、啓発に取り組んでいるにもかかわらず平成30年から毎年の調査結果をみても「ACP(アドバンス・ケア・プランニング、愛称「人生会議」)をご存じですか」との問いに対しても10%前後で推移しており、増加傾向はない。興味深いことに20歳代ではACPを「知っている」層が24.7%あるにもかかわらず年齢とともに減少し、70歳代では3.9%となっていた。
 ところが言葉を代えて「ご自身の人生の最終段階における医療についてご家族と話し合うことについてどう思いますか」との設問では全体の87.3%が「大切なことだと思う」と回答し、特に70歳代では93.7%が、20歳代でも77.5%が「大切である」と回答している。
 原因としては英語表記による高年齢層の認知度の低さや日本語表記にしても「人生会議」というやや抽象的な表現が考えられ、今後啓発の場においては理解しやすい言葉を用いてACP(「人生会議」)を周知することが重要ではないかと思われる。

文 岩本 伸一(東成区)