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府医ニュース

2024年10月2日 第3086号

 ◆医薬品の供給不足が長期化している。いまだ一向に改善する気配がなく、特に重症感染症治療に必要な注射用抗菌薬の供給不足は、むしろ深刻さが増している。
 ◆尿路感染症の場合、高熱、全身倦怠感、排尿困難など重い症状を有する急性細菌性前立腺炎に対してはエンピリックにセフェム系注射用抗菌薬による治療を行う。しかし、その「効能・効果」に記載がある抗菌薬の入手が困難な状況に陥っており、代替薬として急性腎盂腎炎など他の尿路感染症に使用する抗菌薬を、厳密には適応外使用せざるを得なくなっている。各科における感染症治療の状況も同様の事態が想像される。
 ◆医薬品不足の要因として製薬会社の不正製造が取り沙汰されるが、注射用抗菌薬不足については、薬価の下落にともない原薬の製造をほとんど中国に移転、依存したことが根本にある。これまでの過度な薬価改定の副作用とも言える。
 ◆今の出荷調整などは全くの無策に等しく、薬価改定のあり方の見直しと抗菌薬の原薬製造の国産化計画の推進は待ったなしである。(誠)