TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ
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府医ニュース
2024年10月2日 第3086号
布施医師会(平松久典会長)は7月27日夕刻、第34回布施緩和ケア研修会をウェブで開催。医師をはじめ在宅医療に関わる医療介護関係者252人が参加した。
当日は、川邉正和・同医師会理事と福村雄一氏(東大阪プロジェクト代表/司法書士)が司会進行を務めた。冒頭、平松会長があいさつ。緩和ケアは奥深く、患者や家族に応じて、様々なケースに対応していく必要があると言及。本研修会がその一助になることに期待を寄せた。
基調講演1では、「人にやさしい医療をめざして――医療における放射線科の役割」と題して、下田絵美子氏(市立東大阪医療センター放射線科)が講演。下田氏は、外科手術・抗がん剤とならび、がんの3大治療とされる放射線治療は、治癒を目指す根治治療から痛みを和らげる緩和治療まで患者一人ひとりに合わせた治療をすることができると前置き。また、全身に発生するほとんどの悪性腫瘍が対象で、適応範囲が広く、身体への負担が少ないなどの特徴を説述した。さらに、放射線治療の流れや、自院の緩和照射の実績を紹介。一方で、緩和照射が普及していない現状を憂慮し、多職種連携や府民への周知など緩和照射普及に向けた取り組みなどを報告した。
基調講演2では、小説家として活躍する医師、久坂部羊氏が「人はどう死ぬのか」をテーマに、自身が在宅医療に携わっていた際の経験を語った。久坂部氏は在宅医療について、住み慣れた環境や食事、家族と過ごせるメリットがある一方で、専門的な検査や治療が受けられない、家族の負担や不安があるなどのデメリットがあると説示。自身が経験した在宅死の成功例・失敗例を振り返りつつ、▽死を受け入れること▽死に対して医療は無力であることを理解すること――が穏やかな最期を迎えるために必要だと締めくくった。