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府医ニュース

2024年9月25日 第3085号

 ◆台風10号は、九州方面に大きな風水害をもたらした。宮崎では、竜巻が木々をなぎ倒す。屋久島では、樹齢三千年以上の「弥生杉」が永い生命を終える。
 ◆先年大阪を直撃した台風21号が思い出された。何本もの街路樹が根こそぎ倒され、道路を塞いだ。通行の妨げと、翌日には早々に撤去された。まさに、「根を上にして転がってしまった大木」を「格好がつかないもの」と枕草子にある。
 ◆小筆が四季折々に歩く近郊の山でも、大木が根を上にして倒れていた。処理されず、森にそのまま置かれている。年々わずかずつ朽ち、長い年月をかけ土に帰るのだろう。周囲の若い木々に成長の糧を永く与え続け、新しい森の礎の役目を最期に遂げるのだろう。
 ◆小筆は、山に入る度に、安らかな終末期のごとく朽ちていく大木に出会えるのを楽しみにしている。心安らかなACPを見守るように。在宅でも、施設でも、病棟でも、周囲に生命を継いでいくACPでありたい。そうあらねばならない。かの女史が「すばらしいもの」と褒める。(翔)