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府医ニュース
2024年9月25日 第3085号
厚生労働省は8月8日の厚生科学審議会感染症部会で、新型コロナウイルス感染症(以下、コロナ)罹患後症状について研究結果を報告した。罹患後症状の定義として、WHOの推奨する「感染から3カ月経過した時点で有し、少なくとも2カ月以上持続していた症状」として、大阪府八尾市および北海道札幌市の住民にアンケート調査した。
八尾市では、令和3年3月~4年4月(第4~6波)の感染者と非感染者を対象とした。成人は4333人(19~70歳、有効回答率58.5%)で、小児は2089人(6~18歳、同60.7%)が回答した。罹患後症状は、成人では感染後3カ月で14.3%、18カ月に5.4%となった。頻度の多い症状は、▽睡眠障害▽集中力低下▽疲労感・倦怠感▽呼吸困難――などであった。小児では感染後3カ月後で6.6%、18カ月後に1.0%であった。頻度の多い症状は、▽疲労感・倦怠感▽咳嗽▽頭痛▽ブレインフォグ▽集中力低下――などであった。
札幌市では、成人は2年1月~4年2月(第1~7波)の感染者と非感染者の2731人(20~64歳、有効回答率26.3%)で、小児は2年1月~4年9月(第1~7波)の感染者と非感染者で7811人(6~18歳、同29.0%)であった。罹患後症状は、成人では感染後3カ月で20.9%、18カ月後に5.3%であり、小児では感染後3カ月で6.2%、18カ月に1.3%であった。
罹患後症状の推移は両都市で同様の傾向が見られた。感染後18カ月時点で成人では約5%、小児では約1%であり、成人の方が罹患後症状は多かった。また、筋痛性脳脊髄炎(ME)や慢性疲労症候群(CFS)の発生頻度について、感染者と非感染者で比較した。「MEおよびCFSに類似する症候を有する」者の割合は、両者ともに0.5~0.7%と同程度で差がなかった。しかし、「MEやCSFの類似症候を有し、かつ労作後の消耗が14時間以上続く」者の割合は、感染者(0.31~0.43%)に対し非感染者(0.08~0.15%)と有意差はないが、感染者で多い傾向があった。
世帯収入では、コロナの感染、罹患後症状の有無にかかわらず影響がなかった。
就業(学)においては、成人では長期に罹患後症状が続く群では、休職(学)や退職(学)は変わらないが、「直近1年間で休みがちになった」と回答した割合が多かった(八尾市=有意差あり、札幌市=多い傾向)。小児でも感染前と比べて「直近1年間で遅刻や早退の増加」「欠席の増加」と回答した割合が多かったが、症例が少なく確定できない。
成人の罹患後症状が持続するリスク因子として、八尾市では「高齢」「肥満」「ワクチン未接種」に有意差を認めたが、札幌市では差がなかった。原因は不明である。
厚労省の今後のCOVID―19への医療政策に反映される。