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時事

ギャンブル依存症実態調査(速報)

府医ニュース

2024年9月18日 第3084号

IR推進法に基づき厚労省が発表

 8月30日、厚生労働省から「ギャンブル障害及びギャンブル関連問題実態調査」報告書の速報が公表された(調査実施者は国立病院機構久里浜医療センター)。
 平成28年「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律(IR推進法)」成立時の附帯決議に基づき、30年に「ギャンブル等依存症対策基本法」が公布、施行された。翌31年に基本計画が策定され、令和4年にはインターネット投票での依存症対策の充実や包括的支援の実現などを目的に変更が行われた。同計画では、3年ごとの実態調査を政府に義務付けており、今回の調査は、2年度に続く2回目となる。
 調査は昨年11月から今年1月にかけて実施、無作為抽出された全国の満18歳以上75歳未満、1万8000人を対象に調査票を送付し、有効回答率は49.4%であった。依存が疑われる者の推計には、スクリーニングテストのPGSI(Problem Gambling Severity Index)が用いられた。これは、「どのくらいの頻度で、失っても本当に大丈夫な金額以上のお金を賭けましたか」など9項目で構成される、過去12カ月間のギャンブル問題重症度を測定する自記式尺度である。
 今回の調査でPGSIが8点以上でギャンブル依存の疑いがあるとされたのは、男性:2.8%(前回2.8%)、女性:0.5%(同0.4%)、全体で1.7%(同1.6%)であった。年代別では、20代:0.9%、30代:2.1%、40代:2.4%、50代:1.5%、60代:1.3%、70~74歳:1.2%と、40代を最多に幅広く分布していた。これらの人が、過去1年間にギャンブルに使った金額(1カ月あたり)の中央値は6万円で、最もお金を使ったギャンブルの種類は、①パチンコ:46.5%②パチスロ:23.3%③競馬:9.3%④証券、投資、FX:5.4%⑤競艇:4.7%⑥宝くじ:3.9%――と続いていた。依存症対策に関して、知っていると回答した割合は、▽本人や家族の申請によるパチンコ・パチスロの入店制限:29.6%▽同競馬・競輪・競艇・オートレースの入場制限:16.3%▽同ネット投票停止:12.6%▽同購入上限設定:16.3%▽本人申請による金融機関からの貸付制限:19.3%――であった。
 併せて公表された、依存の問題で公的相談機関を利用した人へのアンケートでは、問題となっているギャンブルの種類でパチンコ・パチスロ・競馬が上位を占める一方で、オンラインカジノも本人:7.5%、家族:11.7%と目立っていた。そして問題に気付いてから病院や相談機関を利用するまでの期間の平均は、本人:2.9年、家族:3.5年であり、5年以上との回答も、本人で17.9%、家族で18.6%存在した。
 ギャンブル依存症(ギャンブル障害)は、ドーパミンが関与する精神疾患であるとともに、孤独の病気、否認の病気とも言われる。借金をしてそのために平気でうそをつくことが特徴とされ、より早い治療や支援の開始が望まれる。依存症対策全国センターのサイト(www.ncasa-japan.jp)では、全国の専門相談窓口・専門医療機関を検索することができる。(学)