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五風十雨と厄日

府医ニュース

2024年9月4日 第3083号

 厄日というと、「今日はとんだ厄日だったな」のように、災難にあった日や嫌なことがあった日を思い浮かべるが、暦でいうと、雑節(土用、彼岸など二十四節気以外の季節の移り変わりを示す暦日)、二百十日、二百二十日のことだそうだ。立春から数えて二百十日目、二百二十日目、今年は8月31日と9月10日にあたる。このころに天候が荒れ、台風が日本列島に到来することが多い。先人達は、経験則で台風の襲来をおおよそこの時季と知り、覚悟と対策を講じたのだろう。現代のように台風の進路や規模を科学的に予測することができず、個々に判断していかねばならなかった時代、目安となる日を厄日と呼び、注意を喚起したのだろう。祭りを行って雨や風へ「かくあってほしい」と五風十雨を願ってきた。

先急ぐ
 雲より厄日
    近づきぬ
佐藤 冨士男

 急ぎ足で進む雲が厄日の到来を告げる様子から、自然の変化と人間の不安が伝わる。雲の動きが早いことは天候の急変を示唆し、特に台風の接近を連想させる。気候予測が精密になった現代でも、海水温上昇による台風の大型化やゲリラ豪雨など、河川の氾濫や道路の冠水・崩落、それに伴う流通・公共交通機関の機能停止、日常の暮らしに大きな影響を及ぼしている。
 個人が防災意識を高め、日常から備える自助は重要だが、限界もある。甚大な被害に対しては公的な支援も不可欠だ。適切な助けを求めることができる準備が必要だ。自助・共助・公助は、災害に限らず、バランスをもってなされるべきだと感じる。(颯)