TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ
TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ
府医ニュース
2024年9月4日 第3083号
大阪府医師会はATCエイジレスセンターと共催し、年3回、「エイジレス健康講座」を開催している。第158回となる同健康講座が7月20日午後、エイジレスセンター(大阪市住之江区)で実施され、宮川松剛副会長が「高齢者の熱中症」について解説。近隣住民など約30人が参加し、熱中症対策を学んだ。
宮川副会長は、まず、熱中症による救急搬送者数や死亡者数のデータを示し、近年の猛暑でその数は増加していると言及。救急搬送者の半数以上が65歳以上であると述べ、高齢者は特に注意が必要だと語った。
また、熱中症の発症機序について説明。高温多湿の環境下などで汗をかき、体内の水分・塩分(ナトリウムなど)の減少や、血液の流れが滞ることで体温が上昇し、重要な臓器が高温にさらされることによって発症する〝病気〟であると強調した。一方で、適切な予防によって避けることができ、仮に発症しても応急処置を知っていれば重症化を回避できると述べた。
その上で、熱中症を引き起こす条件として①環境②からだ③行動――を挙げ、それぞれを詳述。高齢者が熱中症になりやすい原因として、▽暑さを感じる皮膚のセンサーが鈍くなり、温度調節が遅れがちになる▽体内の水分量が少なく、汗をかくと脱水状態に陥りやすい――とした。そのため、「室内では温度計を使用し、28度以下を保つようにする」「のどが渇いていなくてもこまめに水分をとる」ことが重要だと訴えた。
最後に宮川副会長は、新型コロナウイルス感染症の感染者が増加していると報告。マスク着用が熱中症の危険因子となる根拠はないと言明し、感染症予防も心がけてほしいと呼びかけた。