TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ
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府医ニュース
2024年9月4日 第3083号
7月度(納涼)郡市区等医師会長協議会(令和6年度第4回)が7月18日午後、大阪市内のホテルで行われた。本文は中尾正俊会長あいさつ(要旨)。
新型コロナウイルス感染症が5類となり、全数報告ではなくなったが、府医では、会員の協力を得て独自の調査を続けている。陽性者数の急増を受け、近日に新型コロナに関するシンポジウムを開催する。コロナは高齢者や基礎疾患を有する方にとっては単なる風邪ではない。記者会見を行い、府民に啓発したい。
前回、医師会運営の基本方針として、①地域医療体制の整備②適切な医療DXの検討③広報部門の強化④事務局改革――の4つを挙げた。取り組みを始めたばかりであるが、現状をお伝えしたい。
地域医療体制についは、団塊ジュニアが65歳となる2040年に向けて、医療提供体制を整備する必要がある。生産年齢人口の減少、複数疾患を抱える高齢者の増加など、社会構造の大きな変化に対応できる医療提供体制の構築が求められる。第8次医療計画において、「在宅医療に必要な連携を担う拠点」「在宅医療において積極的役割を担う医療機関」が位置付けられた。多くの地区医師会が、「拠点」としての活動を進めておられ、地域に根差した医療提供体制の構築が進むと期待している。府医としても支援したい。
医療提供体制の効率化や医師の働き方改革に伴うタスクシフト・タスクシェアも重要な課題だ。府医では、令和6年度限りの事業として、厚生労働省より「地域標準手順書普及等事業」の委託を受けた。医師の手順書により、一定の診療補助を行う看護師を養成するもので、在宅医療の現場を担う医師と訪問看護師の連携を支える一助としたい。そのための委員会も発足させた。在宅医療の負担を軽減できればと考えている。
今年度から、地域完結型の医療・介護提供体制の構築に向けて「新たな地域医療構想の策定」が始まる。これまで年1回の開催であった府医と大阪府病院協会、大阪府私立病院協会との懇談会を、月1回のペースで実施したい。2040年問題を見据えた医療体制を中心に様々な分野で協議する。
広報活動としては、7月11日に記者懇談会を開催した。5大紙をはじめ、業界紙など計11社が参加した。記者からは、災害医療体制、大阪・関西万博での救急医療体制、在宅医療、認知症の早期発見などの質問があり、執行部が応じた。メディアと良好な関係を築きながら医師会の主張を展開したい。
事務局改革であるが、府医ニュースにも記載したように、新たな事務局長を理事会で選定した。体制を一新し、風通しも良くなったのではないかと思っている。改革はまだ途上であり、特に若手職員が自信を持って働ける環境を整えていきたい。
本日は、松本吉郎・日本医師会長に、最近の医療情勢と診療報酬改定のポイントを講演していただく。当初のマイナス基調から大きく押し戻していただいたことは感謝したい。しかし、私は、中医協での審議が軽んじられ、大臣折衝などで物事が進む状況が大きな問題だと考えている。一方で、医師会がどれだけ国民の立場に立って医療を説いても、決めるのは政治だ。来年の参議院議員選挙では、日本医師連盟が推す、釜萢敏・日医副会長を全力で支援したい。
医療機関運営は厳しいが、会員の先生方が診療に専念し、患者のための医療を行える環境を整えるため、これからも尽力する。引き続きご協力をお願いしたい。