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医師・医療関係者のみなさまへ

郡市区等医師会新会長に聞く(1)

府医ニュース

2024年8月7日 第3080号

 令和6年度に就任された郡市区等医師会新会長より、あいさつ・抱負等を寄稿していただきましたので、紹介いたします(順不同)。

都島区医師会 矢木 泰弘 会長

 この度、泉岡利雄前会長の後を引き継ぎ令和6年5月27日に都島区医師会長に就任しました矢木泰弘と申します。平成24年5月に都島区医師会理事に就任し、主に在宅医療と地域連携に携わってまいりました。当地区には拠点総合病院として大阪市立総合医療センターがあります。医療センターとは年4回ほどテーマを決め、区内の一般病院スタッフをはじめ多職種を交えた地域連携についての意見交換会を開催し、顔の見える関係を構築してきました。その結果、医師を含めた多職種間での横のつながりが深まりました。
 令和2年から新型コロナウイルス感染症の世界的なパンデミックにより、国内でも数年間にわたり流行が続き、地域医療の様々な課題が浮き彫りになりました。このような状況を受け、本年度から第8次医療計画が策定されました。当区では今まで以上に多職種が協力し合い、地域医療の体制構築に貢献していきたいと考えております。
 皆様のご指導ご鞭撻のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。

生野区医師会 綿谷 勝博 会長

 この度生野区医師会長に就任させていただきました綿谷勝博です。生野区は、皆様もご存じかと思いますが、人口約12万人で、区民数は年々減少傾向にあり逆に高齢化と独居率は年々増加し、人口構成比率は限界集落に類似しております。それ故、区民の皆様がいつまでも地域で生活できるように会員の先生方が、今以上に在宅医療、認知症ケアに取り組んでくださるよう組織立てしていかなければならないと考えます。
 また、生野区だけの問題ではないと考えますが、医療DX化で取り残されていく診療所もあるのも現実です。医師会は「互助組織」です。地区医師会としてどういった取り組みができるかを考えさせていただこうと思っております。幸い、今回若い先生方が理事職にご参加いただけることとなりました。「変わらなければ」を念頭に理事職一同、力を合わせ今まで以上に生野区医師会を発展させ得るよう全力を尽くしてまいる所存です。何卒、よろしくお願い申し上げます。

浪速区医師会 久保田 泰弘 会長

 令和6年5月25日より故有田繁広前会長の後、会長職を拝命しました久保田泰弘です。医師会は、6年5月時点では会員180人(A会員:63人、B会員:116人、C会員1人)で構成されています。浪速区には総合病院として、愛染橋病院、なにわ生野病院、富永病院、介護系に強いなにわ病院の4病院があります。
 浪速区医師会では、独自の医療システムが2つあります。1つ目は、平成21年に誕生した救急対応システムとしての「ブルーカード」。現在も継続しており、今では近隣の17病院の協力の下に運用しています。これにより救急車なしでも、夜間でも病院に行きやすくなり、また救急搬送時間も短縮しております。システム運用のために、100回を超える病診連携委員会(参加病院と浪速区医師会の協議会)を開催してきました。2つ目は、多職種連携システムの「Aケアカード」。これも通常のSNS形式のチャット機能だけでなく、今後の医療DXを見据えての薬剤情報や検査情報がすべてデジタルで取り込まれており、今後の情報(3文書6情報)にも役立つものと思われます。こちらは、浪速区内の団体(医師会、歯科医師会、薬剤師会、訪問看護ステーション、介護事業者)と行政協力の下で28年より在宅連携協議会として運用しているシステムです。
 医師会としてこれまで、コロナワクチン集団接種、個別接種、発熱外来にも積極的に協力してきました。乳幼児健診、学校医活動、介護保険事業、産業医活動、予防接種事業、特定健診、休日急病診療所出務など地域住民の健康安全に積極的に取り組んでいます。

旭区医師会 木野 稔 会長

 令和6年6月20日の定時総会にて新会長に就任しました木野稔です。私は小児科医で、旭区内で民間こども専門病院を経営しています。旭区内には大きな総合病院がなく、医師会に属する病院と診療所全体で総合病院の役目を果たすよう努めてきたのが、旭区医師会の特徴です。今後も病院・診療所のさらなる連携を進めていくとともに、地区医師会としての使命とビジョンを明確にして、真摯に会務に精勤する所存です。
 まずは、会員相互の情報共有と互恵関係の強化を第一として分かりやすい医師会活動にしたいと思います。地域各種団体・行政とは垣根を低くし、顔の見える関係から動きの分かる関係になるように努めます。区民や患者さんに対しては、各会員が専門性を存分に発揮した医療を提供できるように工夫を重ねたいと思います。0歳から100歳まで幅広い年代に対応するには、ライフステージに沿った考え方が必要です。こども病院から老健施設まで、救急医療から在宅医療まで資源の揃った、全世代に対応できる地区医師会であることを強調したいと思います。

岸和田市医師会 浦田 尚巳 会長

 令和6年5月25日定例社員総会において、10年の長きにわたり会長を務めていただきました久禮三子雄前会長【"禮" は "ネ" (しめすへん)に豊】の後を引き継ぎ、岸和田市医師会長に就任いたしました浦田尚巳でございます。岸和田市医師会は昨年100周年の記念事業を行いました。長きにわたる歴史の中で100年間安泰であったというわけではありません。この間に、時代は大きく変化しております。診療報酬の改定や介護保険事業の問題はもとより、医師会館の老朽化や看護学校の問題、行政とのやりとりの問題、多くの問題が山積しております。しかし幸い岸和田市医師会は多くの若手理事が活躍していただいています。新しい発想で協力体制ができております。また入院などの面で支えていただける病院も多くあり、その中より理事、参与として理事会に参加していただいている病院もあります。すべての関係性が良好な状況を利用して、前述した多くの問題を解決の方向に導きたいと思います。とりわけ目前に迫った2025年問題では市の会議に加え連携の拠点としての会議も行い、三師会を中心に多職種を巻き込んで、岸和田市全体の介護力を向上させていきたいと思っております。誰もが安心して介護を受けられることもさることながら、会員誰もが躊躇なく在宅医療に踏み込めるインフラ作りをしていきたいと考えております。皆様の温かいご支援ご指導をお願い申し上げ、就任のごあいさつとさせていただきます。

天王寺区医師会 喜多岡 雅典 会長

 私は本年5月の社員総会において、第18代天王寺区医師会長を拝命しました。当医師会は77年の歴史があり、155の診療所と大阪赤十字病院、大阪警察病院・第二大阪警察病院の基幹病院をはじめ8つの病院を有し、会員数355人と大きな伝統ある組織であり、大変身の引き締まる思いでいます。
 当地区では子どもの数も総人口もこれからしばらくの間増加する見通しで、少子高齢化・限界集落問題はかなり先になる恵まれた地域と言われますが、逆に学校大規模化による校医選任問題、外国人移民・移住による治安悪化問題、高齢者の単独世帯化による在宅医療や孤独死の増加問題が浮上しています。今年度から受託した在宅医療連携拠点事業を中心にして、連携のあり方や在宅医の増加に向けた同行研修など取り組むべき課題が山積みです。また、医療・看護・介護の多職種連携のさらなる深化も求められます。
 明るい話題として、大阪警察病院の統合が来年1月に予定されています。大阪府医師会副会長でもある澤芳樹院長の陣頭指揮のもと、新しい680床の高度急性期・難病治療拠点の病院が旧NTT西日本大阪病院跡地に完成することは、住民にとっても期待をもって受け入れられています。

堺市医師会 岡原 和弘 会長

 令和6年6月29日の定例総会において、第11代会長に選任されました岡原和弘です。コロナ禍の中、3期にわたり会長をお務めになりました西川正治先生の後任として、会長職を拝命いたしました。
 堺市は政令指定都市で、一つの医療圏です。一市一医師会一医療圏という恵まれた環境にあります。この利点を最大限にいかして、新たな地域医療構想における医療提供体制や地域の災害対策、救急医療体制などを構築し、市民の健康、命を守りたいと考えております。
 今回の診療報酬改定でもそうでしたが、これからの少子高齢化人口減少社会の中、医療を取り巻く環境はますます厳しくなってくると思われます。日本医師会、大阪府医師会ともしっかり連携して、会員が希望を持って、地域医療に専念できるような環境づくりを目指して、微力ですが、精一杯尽力させていただく所存です。どうぞよろしくお願いいたします。

港区医師会 出雲谷 剛 会長

 令和6年6月22日開催の総会におきまして、河村禎人前会長の後任として港区医師会長を拝命いたしました。
 港区医師会は昭和22年12月に創立され、70年以上にわたり港区の地域医療を支えてまいりました。港区は湾岸地域であり、高潮や津波などの災害時の医療体制づくりがより必要になっております。また、港区の現在の人口は約8万人ですが、65歳以上の人口は約2万2千人で高齢化率は27%と、他地区同様に急速な高齢化を迎えています。在宅医療や認知症対策に対処すべく、医療介護の連携、医歯薬三師会の連携、行政や地域との連携が円滑に進むよう、本医師会が連携の拠点として役割を適切に果たせるよう努めていきたいと思っております。
 趣味としては、甲子園での阪神タイガース観戦で、週末は5~10㌔のランニングをして、年1、2回ハーフマラソンの完走と年1回百名山の登山を目標にしております。
 今後ともご指導・ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。

阿倍野区医師会 武田 正 会長

 令和6年6月定例社員総会にて潮見満雄前会長が退任され、その後に私が阿倍野区医師会長を拝命いたしました。現在の阿倍野区医師会は登録146施設、会員数257人(A会員149人、B会員105人、C会員3人)であり、ケアステーション・訪問看護ステーションを運営しています。理事会は18人の理事で原則月2回開催しています。区医師会は会員のお役に立てるよう活動を行いつつ、主に区民を対象に公益事業を計画・遂行しています。
 団塊の世代が75歳以上になる2025年問題がありますが、さらに2050年を過ぎても75歳以上人口は増加するとされています。また、外来を受診する患者数は2025年をピークに減少に転じると予想されます。診療所は外来診察のみでは経営が難しくなる場合も考えられます。医師会の団結力が今まで以上に必要になる時代が来るかもしれません。
 私自身はまだまだ知識および経験が足らず、会長という重責に身の引き締まる思いでいます。今後とも皆様のご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。

鶴見区医師会 長谷川 正 会長

 令和6年5月25日付けで、藤村成人前会長から引き継ぎ、一般社団法人大阪市鶴見区医師会長に就任いたしました長谷川正です。
 鶴見区医師会は、昭和51年に設立され、平成24年に一般社団法人として認可されて、現在に至っております。設立当初は49人前後の会員数だったそうですが、令和6年6月現在、病院・診療所を有するA会員79人、勤務医であるB会員66人の合計145人の会員が在籍しております。
 鶴見区は鶴見緑地公園など緑豊かで住環境が良く、現在も人口は増え続け11万人超となっています。特に若い世代の人口が多く、活気あふれる街となっています。地域の医療機関や関係機関との連携を強化し、より良い医療環境を築き、地域の皆様に信頼され続けるよう、医師会として精進していく所存です。
 しかしながら、医療界にとって経営上厳しい環境が続き、医師会の活動も働き方改革の影響、世代間の価値観の相違などから、以前に比べて活気に乏しい状況となりつつあります。今一度設立時の原点に戻り、住民の健康・地域医療を守れるようがんばろうと考えていますので、ご指導ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。

西淀川区医師会 竺原 俊光 会長

 本年6月11日の西淀川区医師会定時総会にて若杉太郎前会長の後を引き継ぎ会長に就任いたしました竺原俊光です。当区医師会は昭和23年に社団法人として発足し、その後平成25年の法改正により一般社団法人に移行し現在に至りますが、昨年法人設立75周年を迎えました。さらにこの間、昭和45年には公害被害者検査センターを発足させ、その後発展して50年に現在の西淀川区公害医療センターを開設いたしました。今回、この伝統ある医師会の先頭に立つわけで責任の重大さを痛感しております。
 当区医師会では、当会独自の「にーよん医療ネット」などを用いて、今後の少子高齢化多死社会に対応した在宅医療や認知症医療の推進を、また前記の公害医療センターにて公害補償法に基づく公害患者の方々への各種検査と診療を行っております。
 私達は現在会員数128人ですが減少傾向にあり、さらに会員の高齢化もあり、多くの問題を抱えております。歴代会長と比較して経験不足は否めないですが、この大変な時期に何とか責務を全うする所存でありますので、皆様のご指導ご鞭撻のほど何卒よろしくお願い申し上げます。

大淀医師会 柏井 三郎 会長

 一言ごあいさつ申し上げます。私は平成14年に大淀医師会に入会し、以来、篠原良洋会長、樋口徹会長、加納繁照会長、樋口洋子会長という一線でご活躍の先輩会長方の下、仕事をさせていただきました。そして今年5月に田上大作会長のあとを受け大淀医師会長を拝命いたしました。どうぞよろしくお願いいたします。
 父は堺筋本町で内科を開業しておりましたが、私は縁あって大淀の地に根を下ろすことになりました。大淀医師会は会員数の最も少ない医師会ではありますが、発足以来、会員の融和と協調の精神を継承して今に至ります。地区歯科医師会や薬剤師会とも大変仲が良く、協力して地域住民の健康を守ってきました。残念ながら新型コロナウイルス感染症は今も猛威をふるっておりますし、人間関係の変化、社会情勢の不透明さ、災害や気候変動などを身近に感じる状況が続いています。
 今年から始まる第8次医療計画にある在宅医療の推進や新興感染症対策など、取り組むべき課題が山積しておりますが、微力ながら皆と力を合わせ、また周辺医師会様とも協力して地域医療を支えていきたいと思います。今後ともご指導ご鞭撻を賜りますよう何卒よろしくお願い申し上げます。

泉佐野泉南医師会 松若 良介 会長

 本年6月15日の定例社員総会後、石本喜和男前会長の後を引き継いで会長を拝命しました。当医師会は、泉佐野市、熊取町、田尻町、泉南市、阪南市、岬町の6市町(総人口約28万人)を圏域とする広域医師会で、会員数は約400人(A会員が半数)です。大阪府の一番下端を占める山と海に挟まれた細長い地域です。ここ数年は新規、継承開業が一定数あり会員医療機関の数は維持できてきました。しかし、今後の当地区の人口減少予想を見越すと、新規・継承開業の先細りが懸念材料になるかもと杞憂しています。
 私自身は約10年間医師会地域連携室担当理事としていわゆる地域包括ケアシステム構築に微力ながら携わってきました。この経験をいかして医療介護の各方面との横のつながりを一層密にしてフットワークの良い医師会活動を目指していく所存です。一方で厚生労働省が提唱する、「かかりつけ医機能報告制度」がどういう展開になるのかは、会員医療機関にとって重大な関心事であり、大阪府医師会はじめ各方面からの情報発信に大いに期待するところです。課題山積ですがボチボチネチネチ(私の仕事でのモットーです)と取り組む所存です。
 執行部ならびに会員のご支援のみならず府医の役員、郡市区等医師会長の先生方のご指導ご鞭撻をお願い申し上げます。