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将棋部だより

7月例会の成績

府医ニュース

2024年8月7日 第3080号

平常心は保ち難いもの

 7月21日に今年4回目の例会を、大阪市中央区谷町の大阪府社会福祉会館で開催した。「人間一生誠に僅かの事なり。好いた事をして過ごすべきなり」と「葉隠」にある。とても暑い日だったが、勇んで出かけた。
 ボストンマラソンで優勝し、メキシコ五輪で銀メダルを獲得した君原健二氏は、74回のマラソンをすべて完走し、「走ることによって人生を切り開いてきた」と回顧した。我々は盤上で戦うことによって思慮を深めてきた。そして人生を楽しんできたのである。
 参加者は3月と同じで近年では最多の12人だった。局面が優勢でも劣勢でも、全力を尽くすのが我々のモットーである。しかし対局中に強い感情が湧くことを抑制するのは難しい。中盤早々に大優勢になると喜んでしまうし、逆にどうしようもない局面になってしまうと自分に怒りが湧く。この日も決定的な局面から逆転したケースが複数あった。
 今回は平常心を保ち続けられた濱田五段(東住吉区)と準会員五段が全勝した。後者には敗勢の局面があったが、闘志満々で粘り逆転した。3勝1敗の手島七段(和泉市)が3位になった。他の参加者は松村六段(池田病院/東大阪市)、東森五段(平野区)、伊藤五段(野崎徳洲会病院/大東市)、山中五段(福島区)、佐野五段(豊中市)、青谷三段(高槻市)、柿原三段(堺市)、準会員四段、準会員二段だった。
 「いにしへもかくやは人のまどひけん我がまだ知らぬしののめの道」「つきもせぬ心のやみに暮るるかな雲居に人を見るにつけても」と若かった頃の光源氏は詠んだ。源氏物語は恋をして心に闇を抱いてしまった男が、成長してゆく物語である。我々は将棋で心を深め、より良く生きてきたのである。
 入部をご希望の方は、いずみがおかメンタルクリニックの手島(電話0725―56―2727)までご連絡ください。

報告 手島 愛雄(和泉市)