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府医ニュース

2024年8月7日 第3080号

寝不足の 一あくびして 朝曇
星野 立子

 睡眠不足が続いている。酷暑で寝苦しいのか、オリンピック観戦で眠れないのか。
 パリ五輪。初のスタジアムの外での開会式。スタートのオステルリッツ橋は、トリコロール色の花火に彩られ、ボートに乗った代表団が、セーヌ川をパレード。熱気球の形をした聖火台が、パリの空高く舞い上がった。セーヌ川沿いにも、会場にも、スポーツの祭典を楽しむ人・人・人。前回の東京五輪は、新型コロナウイルス感染症の影響を色濃く受け、無観客での開催だった。
 去る7月25日、大阪府医師会で「新型コロナウイルス感染症に関するシンポジウム」が開催された。中尾正俊会長は、「すでに大阪は第11波の中にある」として、改めて警戒を呼びかけた。京都大学の西浦博先生と関西医科大学の中森靖先生は、専門的な視点で現状報告、その後、会見が行われた。
 西浦先生の「積極的な社会的忘却のプロセス」という表現が印象深かった。マスクオフなどの自粛後の緩和。振り子は大きく振れると、大きく振り戻す。アルヴァックスによれば、社会的記憶、集団的記憶は、個人的記憶が多数集まって構成されるだけではない。集合的事実が社会的記憶を形成する。個人的記憶は、外在的事実により拘束され、集合的記憶の共有性がなければ、社会の記憶として再構成されない。
 11波を迎えた今こそ、医療の現場は、新型コロナウイルス感染の「現実」と向き合い、忘却の中でも、逼迫について発信し続けるべきだと再認識している。(颯)