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時事

全世代型社会保障構築会議開催(第2報)

府医ニュース

2024年8月7日 第3080号

医師偏在対策について

 令和6年5月27日に第18回全世代型社会保障構築会議が開催され、本紙第3076号(6年6月26日付)にて、かかりつけ医機能について報告した。
 今回は、医師偏在対策について述べる。5年12月22日の閣議において以下の決定がされた。すなわち、医師の偏在対策の観点から、医師養成課程における取り組みを進めるとともに、医師少数区域等で勤務した医師を認定する制度において、管理者として評価する医療機関を拡大するなど、医師が少ない地域での医師確保の取り組みについてさらなる検討を進める。あわせて、オンライン診療の活用やタスク・シフト/シェアの推進を図る。医師の地域間、診療科間、病院・診療所間の偏在是正に向けて、医学部臨時定員、経済的インセンティブや、外来医師多数区域における都道府県知事の権限強化をはじめとする規制的手法のあり方について検討する。
 これを受けて、6年1月29日に第1回医師養成課程を通じた医師の偏在対策等に関する検討会が開催された。医師養成課程における取り組みとして、大学医学部において全国の医師養成数と地域枠を検討し、臨床研修においては募集定員の倍率を縮小するとともに、都道府県別に研修医の募集定員上限数を設定して、地域偏在を是正する。専門研修では、日本専門医機構において、将来の必要医師数の推計を踏まえた都道府県別・診療科別の専攻医の採用上限数(シーリング)を設定することで、地域・診療科偏在を是正する。各都道府県の取り組みとして、医師確保計画において、医師偏在指標により医師偏在の状況を把握し、計画期間の終了時点で確保すべき目標医師数を設定する。あわせて、地域の医療を支えている勤務医が、安心して働き続けられる環境を整備することが重要であることから、都道府県ごとに設置された医療勤務環境改善支援センター等による医療機関への支援を通じて、適切な労務管理や労働時間短縮などの医師の働き方改革を推進する。
 ある委員は、今の現役医師世代の医師不足地域への移動の方策として、内閣府の経済財政諮問会議では、地域ごとの医師の派遣・配置計画の明確化、リカレント教育、経済的インセンティブと規制的手法の組み合わせ、国・都道府県・大学の連携など総合的対策が提唱されている。このうち経済的インセンティブは単にサラリーの問題だけではなく、4割を占める新人女性医師、そして女性医師や勤労女性を配偶者とする男性医師の出産・育児などライフイベントと医師としてのキャリア形成の両立のための費用、待遇改善策として非常に重要であると強調した。また、診療科の偏在についてもこれは重要で、繁忙度の高い医師とそうでない医師の給料が基本的に同等であることに疑問を呈する一方、規制的手法は憲法が保障する職業選択の自由に反するので最大限抑制的に制度設計すべきであるとの意見も重要である。(中)