TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ

新型コロナに関するシンポジウム

府医ニュース

2024年8月7日 第3080号

感染者急増 府民に啓発

 大阪府医師会は7月25日午後、新型コロナウイルス陽性者の急増を受け、急遽「新型コロナウイルス感染症に関するシンポジウム」をオンラインで開催し、約400人が聴講した。また、終了後には記者会見を実施。在阪テレビ局や新聞社などを通して、医療に支障を来さないよう府民の協力を求めた。

 当日は、宮川松剛副会長の司会で開会。冒頭、新型コロナウイルスが急増しており、感染拡大防止のため、マスク着用で進める旨の説明がなされた。
 次いで、中尾正俊会長がシンポジウムの趣旨を説明。はじめに、「現在は11波の状態にある」と警鐘を鳴らした。新型コロナの5類移行後、全数把握は行われていないが、府医では会員の協力を得て独自のサーベイランスを実施している。7月16日には連休明けという事情はあるものの、291医療機関より1351件の陽性報告があった。中尾会長はこの状況を示し、「例年よりも拡大のペースが早い」と指摘。受診患者の増加に伴い、検査キットが不足する兆候も見られ、「医療逼迫が危惧される」と危機感を表した。また、陽性者の急増による重症者の増加を懸念。感染の拡大が続くことで外来・入院機能の縮小が生じると訴えた。

診療機能維持に協力を
府民へメッセージ

 一方、府民に向けては、「マスク着用や感染対策などの協力で、コロナ禍を乗り越えられた」と謝意を表明。猛暑の影響でマスク着用が難しい側面もあるが、「日常の診療を続けられるよう協力してほしい」とメッセージ。診療機能の維持に理解を求めた。

第11波の見通し
京都大・西浦氏

 西浦博氏(京都大学大学院医学研究科附属ヘルスセキュリティセンター危機インテリジェンス部門教授)は、第11波の流行状況と見通しを報告。様々なデータから、「これまでよりも悪い予測」との見解を示した。医療は今後もコロナと向き合う必要があるとし、急性期や高齢者対策に向けた医療提供体制を確保しなければならないと言明。医療が逼迫しそうな状況では、「医療者がコロナの発信を続けなければならない」と力を込めた。

コロナ再流行の現状
関西医大・中森氏

 中森靖氏(関西医科大学総合医療センター救急医学科教授)からは、自院での入院状況やゲノム解析の結果などが提示された。アルファ株、デルタ株、オミクロン株、非変異株のデータを比較しながら死亡率を検証。オミクロン以降重症化率・死亡率は低下したものの、重症化すれば細菌性感染症を合併して死亡率は高率となることから、「高齢者や免疫調整薬使用者、透析患者」は特に注意が必要と述べた。
 シンポジウムは在阪テレビ局4社のほか、大手新聞社など計15社が取材した。会見の模様など詳細については府医ホームページをご覧願いたい。