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時事

新型コロナウイルス感染症 第11波

府医ニュース

2024年7月31日 第3079号

発熱外来でのマイナ保険証受診

 新型コロナウイルス感染症が、感染症法上の位置付けで季節性インフルエンザと同じ「5類」に移行されたのは令和5年5月。それ以降、法律に基づいた外出自粛の要請はなくなり、感染対策は個人の判断に委ねられた。5類移行後、初の新型コロナウイルス感染症流行が昨夏、実質上の第9波として来たことは記憶に新しい。その後、令和6年2月にも第10波があった。大阪府感染症情報センターによると本年7月第1週(第27週)における定点観測では、大阪府は6.4人と、前週より1.5倍となった。全国的にも同様の流行状況であり、第11波に入ったと考えるのが妥当だろう。
 当初より府内の発熱外来を行う診療所が増えたとはいえ、個々の現場では、発熱患者と一般患者の導線分離を行う。そのためか、発熱外来受付方法を検索すると「従来の保険証があれば持参してほしい」と呼びかける医療機関が多い。

発熱外来の資格確認

 このように多くの発熱外来対応医療機関では導線分離が行われているため、院内でマイナ保険証によるオンライン資格確認(オン資確認)ができないことがある。その場合、①後日、院内でオン資確認システムを使用して精算する方法②患者に被保険者資格申立書を記入してもらい精算する方法③モバイル端末を使用して「マイナ在宅受付Web」でオン資確認を行い、当日精算する方法――が考えられる。①と②は受付事務や患者の負担が多いため、発熱外来には適していない。一方、③は、資格確認できるとはいえ、モバイル上でその場では資格内容が閲覧できない方法である。また、日本医師会ホームページには「スマホ等でマイナポータルの被保険者資格情報の画面を提示してもらい確認する」方式も提示されているが、これが国民に周知されているかどうかは疑問であり、初診患者の割合も多い発熱外来の現場には向いていないと考える。

資格確認限定型方式

 一方、同じモバイルでの資格確認でも、「資格確認アプリ」を用いた「資格確認限定型」方式は、患者による暗証番号入力が必要だが、モバイル上で資格確認ができ、従来の保険証での目視確認と同様のプロセスで作業できる。新たに顔認証システムを導入するよりもコストも掛からず、必要な端末分だけ申請すれば資格確認アプリをインストールすることができる。しかし、導入対象は、健診実施機関等または義務化対象外機関に限定されている。
 資格確認トラブルは、通信障害以外にも、顔認証システムや資格確認用PCの故障でも起こり得る。待ち時間に多くの時間を割けない発熱外来にとっては、この資格確認アプリ(資格確認限定型)によるバックアップがあれば、より大きな安心となるであろう。(葵)