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府医ニュース

2024年7月31日 第3079号

 ◆就労は障害がある中でも重要なゴールである。障害者就労を促すべく、企業に法定雇用率を義務付けている。しかし、達成できているのは半数足らず。
 ◆法定雇用率をクリアすべく、「代行ビジネス」が現れた。障害者を集め、農園を開く。農園の一画を企業に貸し出す。企業本来の活動とは無縁だが、障害者を企業が雇用し社員1名を付き添わせることで法定雇用にカウント。まさに代行。
 ◆就労の取り組みではあるが、批判が見られる。企業とは全く別の組織で働くため、社員や顧客との交流はない。野菜作りの専門的サポートは薄く、商品としての販売はない。生産的活動というよりリハビリである。職場が障害を理解し、受け入れての共生社会とはかけはなれるという。
 ◆弊院では、精神障害の方が病院職員として院内の清掃や物品の院内配送を担当している。あちこちで出合う職員から労いのあいさつを受け、笑顔に。就労事業では、食堂や店のスタッフとして利用者との対応に勤しんでいる。代行では得られぬ共生であろう。(翔)