TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ

第1回学校保健講習会

府医ニュース

2024年7月31日 第3079号

これから秋にかけて注目の2テーマを講演

 大阪府医師会学校医部会(部会長=中尾正俊・府医副会長〈当時〉)は6月19日午後、第1回学校保健講習会を府医会館とウェブの併用で開催。医師や学校関係者ら約500人が受講した。

 森口久子・同部会副部会長(府医理事)は開会あいさつで、本講習会で得た知識を明日からの現場でいかしてほしいと呼びかけた。
 はじめに、座長を杉原昭氏(同部会常任委員・学校保健対策委員会委員)が務め、夏秋優・兵庫医科大学医学部皮膚科学教授が、「学校生活で注意すべき虫と虫による皮膚疾患の対処法」について講演した。
 まず、ハチ刺症の症状や対策などを説示。刺された直後に全身のじんましんや吐き気、呼吸困難などの即時型アレルギー反応が生じた場合は救急対応を要し、特に2回目以降のハチ刺されは、アナフィラキシーショックを起こす可能性があると解説した。また、▽暗い色の服装▽肌の露出▽香りでの刺激▽巣の刺激――を避け、スプレー式殺虫剤が効果的だとアドバイス。そのほか、「セアカゴケグモ咬症」「マダニ刺症」「アタマジラミ症」を取り上げ、野外活動での服装や疾患への正しい理解などは、学校側の責任として指導するよう訴えた。
 次いで、御前治氏(同部会常任委員・学校感染症対策委員会委員〈当時〉)を座長に、「HPVワクチン最新情報――自信を持って勧められるために」と題し、上田豊・大阪大学大学院医学系研究科産科学婦人科学教室講師・医局長が登壇した。
 冒頭、HPVワクチンを早期導入した海外の報告を提示し、思春期におけるワクチン接種の高い有用性を明示。日本において積極的勧奨が差し控えられた世代の子宮頸がんの再増加を憂慮した。あわせて、キャッチアップ接種による罹患リスク低減のシミュレーションを基に、その意義を詳述。児童や親が副反応などに過剰な反応を示すのではなく、「将来の健康を守る」意識でワクチン接種の意思決定を支援するよう求めた。そして、子宮頸がんの危険性を医療者や教育者の言葉として伝えることが重要だと締めくくった。