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医師・医療関係者のみなさまへ

大阪医薬大第3学年診断学入門コース

府医ニュース

2024年7月17日 第3078号

医学部生に向けて特別講義
医師会の役割や医療制度など解説

 高井康之・大阪府医師会長(当時)は5月20日午後、大阪医科薬科大学で第3学年診断学入門コースにおいて特別講義を実施。「日本の医療制度と医師の業務」を解説し、125人の医学部生が受講した。

 まず、西洋医学の源流から大正5年の大日本医師会設立までの歩みを説明した。また、医師会の役割は「国民の生命と健康を守る」「医師の医療活動を支える」ことだと言明。令和6年能登半島地震の際には、JMAT(日本医師会災害医療チーム)を派遣し、被災地の医療を支えたと述べた。さらに、医師が最新の医学を身に付けられるよう生涯研修の場を提供することも医師会の重要な責務だと語った。
 続いて日本の医療制度に触れ、保険診療の仕組みやルールを詳説。禁止事項では、無診察治療や特殊療法、特定の保険薬局への誘導等をしないよう注意を促した。加えて、日本の医療の特徴として、▽国民皆保険制度▽現物給付▽フリーアクセス――を提示。先進諸国と比較しても医療費は低く平等な医療サービスが提供されており、その結果、世界トップクラスの長寿や低い乳幼児死亡率につながっていると指摘した。
 次に、医師の業務に言及。臨床医として、「患者の立場に立った医療を行う」「常に社会の動きを把握する」などを心がけてほしいと呼びかけた。そのほか、医師法で定められている応招義務や守秘義務、異状死の届出など日常診療で注意すべき点を取り上げ、解説した。
 また、最近の医療情勢として、4月から開始された医師の働き方改革を詳説。「医師の健康確保」「地域医療の継続性」「医療・医学の質の維持・向上」の3つが調和することが大切だと締めくくった。