TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ

6月度郡市区等医師会長協議会

府医ニュース

2024年7月17日 第3078号

 6月度郡市区等医師会長協議会(令和6年度第3回)が6月28日午後、大阪府医師会館で行われた。本文は中尾正俊会長あいさつ(要旨)。

 本日は私が会長として初めての協議会となる。14年ぶりの選挙を経ての会長就任であり、所信を述べたい。まずは5月19日開催の第327回臨時代議員会で会長に選任・選定いただき心からお礼を申し上げる。立候補を決意した大きな理由は、「大阪府医師会の活動が見えない」との声を受けたことだ。情報発信のあり方を見直す中で、7月11日に記者会見を実施するとともに記者との意見交換会を企画した。その際に発表したいと考えているが、まずは先生方に会務運営方針をお伝えしたい。
 一つは地域医療体制の整備だ。しかし、今回の診療報酬改定でのマイナスの影響が問題だ。内科系診療所をはじめ多くの医療機関がその煽りを受けている。日本医師会は政府に陳情するなど対策を講じているが、実際の影響がどの程度なのかを厚生労働省や財務省に伝える必要がある。第8次医療計画がスタートしたが、基盤となる医療機関が経営的に不安を抱えるようでは、地域医療提供体制の整備どころではない。8次計画での中心は在宅医療であり、地域の実情に応じた体制が構築できるよう注力したい。救急災害医療の再構築も重要と考える。能登半島地震等でのJMAT(日医災害医療チーム)活動から得た経験を基に、南海トラフ地震へ向けた対応を検討していく。会員の先生方や専門家の意見も踏まえて体制づくりを進めたい。
 もう一つは、医療DXである。患者を含めた府民、そして会員が誰一人として取り残されないことが重要だ。マイナンバーカードを保険証として利用登録している方は、取得者の78.9%で、国民に行き渡っていない。拙速な医療DXには反対していく。一方、全国医療情報プラットフォームが進められており、全医療機関に標準型電子カルテが導入される方向となっている。初期コストやランニングコストが医療機関の大きな負担とならないように国や行政に補助を求めていく。
 次に、広報部門を強化したい。コロナ禍の最前線で懸命に従事した医療者の姿や医療現場の苦労がきちんと伝わっていなかったと感じている。SNS等を活用して先生方の日常診療や医師会活動についても広く国民、府民に発信したい。また、そうした情報提供は医師会組織の強化につながると思っている。
 最後は、事務局機能の改革を進める。事務局体制の強化は会員サービスに直結していく。組織の風通しを良くして、事務局が10年後、20年後もやりがいを持てる職場にしたい。若手職員には研修制度等も活用しながら、自信を持って仕事ができるような環境を整えたい。
 政府は、6月21日に「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)2024」を閣議決定した。社会保障関係費を減らす方向が見て取れる。財務省財政制度等審議会の「春の建議」でも地域別診療報酬の導入等が指摘されている。フリーアクセスを阻害する政策には断固反対する。
 府医の伝統である「言いたいことを伝える姿勢」で、国や行政、あるいは日医とも是々非々で対応し、会員のための発言ができるような医師会でありたいと考えている。引き続きご協力を願いたい。