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府医ニュース

2024年7月3日 第3077号

 ◆高齢者の救急搬送が増加している。9割は軽症・中等症だが、ADL低下で自力受診が出来ず救急搬送されるケースが多い。また、高齢者の社会的孤立を背景に、身寄りなし、家族疎遠、無保険、実質ホームレス、高齢者虐待、支援拒否といった社会的ハイリスクの患者が増えている。
 ◆必然的に救急医療の現場では様々な難題が生じている。特に退院に向けての出口問題が深刻のようだ。急性期を脱するとリハビリや栄養管理を中心とする回復期に入り、退院までの一連の支援が必要となる。国もこの対策に乗り出し、今回の診療報酬改定で「地域包括医療病棟」の施設基準を新設している。
 ◆社会的ハイリスクの高齢者患者は、退院時の受入先の調整が困難にある。多くの病院では専門看護師や医療ソーシャルワーカー、管理栄養士などから構成する入退院支援室を設け、「入退院支援加算」のもと対応しているが、現実は必ずしも円滑な調整には繋がっていない。
 ◆高齢者救急医療の喫緊の問題として、地域医療連携体制の確立が急がれる。(誠)