TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ

周産期医療研修会

府医ニュース

2024年7月3日 第3077号

CTGの判読をテーマに開催

 大阪府医師会は5月18日午後、大阪産婦人科医会との共催により、令和6年度第1回周産期医療研修会を開催。今回は、「CTGの判読について」をテーマに2題の講演が行われ、府医会館とウェブの併用で医療関係者ら約450人が受講した。
 冒頭、笠原幹司理事があいさつ。今回はCTGの読み方について、改めて一から学んでもらおうと企画したと述べ、初心に戻って勉強してほしいと期待を寄せた。
 座長を荻田和秀氏(りんくう総合医療センター産婦人科部長)と荒堀仁美氏(大阪大学大学院医学系研究科小児科学助教)が務め、谷口武氏(大阪産婦人科医会医療安全部理事/谷口病院長)が「大阪府における産科医療訴訟――現状と注意点」と題して講演。はじめに、大阪府の産婦人科訴訟の現状を提示した。最近は訴訟件数が増加傾向にあり、CTG(胎児心拍陣痛図)の判読に関する問題を指摘される症例が多くなってきていると説明。要因としては、CTG判読練習講習会やカンファレンスがコロナ禍で開催しにくい状況にあったことなどを挙げた。また、CTGの判読を医師へ報告する際、言葉で伝えることは難しいため、CTGのレベル分類を使用し、それに基づく対応を行うことが求められているとの見解を示した。また、レベル分類は状況把握のためのメンタルモデルの共有のツールとして作用すると語った。
 続いて、松岡隆氏(昭和大学病院産婦人科教室准教授)が「胎児心拍陣痛図の判読」を解説した。まず、判読を行うには胎児心拍モニタリング検査の特徴を知る必要があると説明。この検査は「陽性的中率が低く陰性的中率が高い」とし、健常性の確認に有用だと述べた。そのほか、検査者間誤差(特に基線細変動)が大きいと指摘。綺麗な信号を得ることが第一歩と加えた。さらに、安心できないCTG所見を妊婦へ伝える際に気を付けることを紹介。医療者が「発した言葉」と患者が「受け止める意味合い」が異なる場合があることや、言葉の持つイメージに注意を払うなど患者を必要以上に不安にさせないポイントを語った。