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将棋部だより

5月例会の成績

府医ニュース

2024年6月26日 第3076号

終盤は駒の損得より速度

 5月19日に今年3回目の例会を、大阪市中央区谷町の大阪府社会福祉会館で開催した。時折り雨が降る、風が強い日だった。
 「もの思へば沢の蛍もわが身よりあくがれ出づる魂(たま)かとぞみる」と和泉式部は詠んだ。恋をすると魂が身から遊離すると感じたのである。「人間は自らを自己の外部に置こうとする」というハイデッガーの脱自説の実例だろう。我々は一心不乱に考える。そして自らの分身のように駒を動かすのである。
 参加者は10人だった。序盤早々まだ駒組みが半ばのうちから開戦して、激しい戦いになるケースがあり、またがっぷり四つに組んだ態勢で押し合うケースもあった。いずれにせよ、序盤では駒の損得が大事だが、終盤になれば攻めの速度が大事になる。一手でも早く敵玉を詰ませた方が勝ちなのだから。つまり将棋では、状況によって価値観を変えなければならない。それを適切にできる者ほど、勝てる可能性が高いのである。
 今回は参加者の星が片寄った。手島七段(和泉市)と準会員四段が全勝したのだが、2人が全勝したのは、大変珍しいことだった。3勝1敗の準会員二段が3位になった。他の参加者は、伊藤五段(野崎徳洲会病院/大東市)、山中五段(福島区)、濱田五段(東住吉区)、佐野五段(豊中市)、柿原三段(堺市)、青谷三段(高槻市)、準会員五段だった。
 藤原道長は和泉式部の扇子に、「浮かれ女」といたずら書きした。彼女の恋は宮廷で有名であり、非難されもした。しかし道長の娘で中宮の彰子は、「誰が何と言おうと、あなたは絶対に必要な人です」と断言した。和泉式部は紫式部と同様に、芸の力で生き抜いた。我々も修行によって心を磨く。そして社会から必要とされ続けるであろう。

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報告 手島 愛雄(和泉市)