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医師・医療関係者のみなさまへ

第33回布施緩和ケア研修会

府医ニュース

2024年6月19日 第3075号

ACP×BCP×緩和ケアをテーマに開催

 布施医師会(平松久典会長)は3月2日夕刻、第33回緩和ケア研修会をウェブで開催。「ACP×BCP×緩和ケア――ACPとBCPによる未来への準備」をテーマとし、約150人が視聴した。
 川邉正和・同医師会理事と福村雄一氏(東大阪プロジェクト代表)が司会進行を務め、はじめに、平松・同医師会長があいさつ。近年、緩和ケアへの関心が高まっていると指摘し、本研修会で「未来への準備」を学んでほしいと語った。
 次に、基調講演1として「元気な時こそ縁起でもない話を――死生観は人生観、豊かな人生をいきるために」と題して、井上從昭(よりあき)氏(妙行寺住職)が講演。井上氏は自身が住職を務める寺院で2018年より開催している「縁起でもない話をしよう会」を紹介した。これまで計28回開催する中で、医師や看護師、元がん患者、葬儀関係者など様々な職種の方を話題提供者として招き、「死生観」について地域住民と共有する集いの場として続けていると述べた。また井上氏は、社会の中で常に死をテーマにしている場所が寺院であると強調。仏教では人々の生活の中に死生観に基づく習慣が根付いており、〝死〟は特別なものではないと語り、職場や家庭でも「縁起でもない話をしてみませんか」と呼びかけた。
 基調講演2では、山岸暁美氏(コミュニティヘルス研究機構理事長・機構長/慶應義塾大学医学部衛生学公衆衛生教室)が「地域BCPのススメ――スタッフ、そして患者・利用者のいのちと暮らしを守るために」を詳説した。山岸氏はBCP(事業継続計画)を策定することでPDD(Preventable Disaster Death:防ぎ得た災害関連死)の約半数を阻止できる可能性があるとし、BCPと災害対応マニュアルの違いについて解説。災害対応マニュアルが災害発生時の緊急・初期対応行動マニュアルである一方、BCPは医療・ケアの提供を継続するために計画された策だと語った。
 また、発災直後には自衛隊やDMAT(災害派遣医療チーム)、JMAT(日本医師会災害医療チーム)など様々な公的支援が投入されるが、災害関連死は発災から数カ月後の公的支援が撤退していく時期に増加し、災害直接死の4倍とも言われると指摘。公的支援を補完しながら増大するケアニーズに対応するためDC―CAT(Disaster Community Care Assistance Team)を立ち上げ、災害関連死を阻止し、地域の医療やケア機関の復旧プロセスを支援する活動を行っていると紹介した。
 最後に山岸氏は、BCP策定において地域の医師会がファシリテーションの役割を担い、有事には間接的支援のプラットフォームの役割を果たしてほしいとまとめた。