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医師・医療関係者のみなさまへ

5月度郡市区等医師会長協議会

府医ニュース

2024年6月19日 第3075号

 5月度郡市区等医師会長協議会(令和6年度第2回)が5月24日午後、大阪府医師会館で行われた。本文は高井康之会長あいさつ(要旨)。

 政治状況であるが、ご存じのとおり4月に衆議院議員の補欠選挙が3カ所で行われた。不戦敗も含めて与党はいずれも勝利することができなかった。国会では、政治資金の問題に対する法案が、改定案に与野党との調整がつかないまま議論されており、国民の納得、信頼を得るという視点では厳しいものがあるだろう。9月には自民党総裁選挙が実施される。岸田文雄首相は、サプライズが多いので、いつ解散・総選挙という伝家の宝刀を抜かれるのかは不透明だ。衆議院は常時戦場の様相であり、来るべく解散に備えて、本日はこの後に医師政治連盟を開催させていただきたいと思っている。
 医療に関しては、6月から診療報酬改定が実施される。内容を見ると非常に厳しい。特に診療所においては生活習慣病管理料に目が向くが、これで終わりではないようだ。つい最近出された財務省財政制度等審議会「春の建議」では、現状は、高血圧、脂質異常症、糖尿病が特定疾患療養管理料から外されたが、ほかの疾患もその流れとなるようなニュアンスで書かれている。診療所叩きはまだ始まったばかりではないかとも思ってしまう。
 また、医療費がここ10年間、高齢化の伸びの部分が少しずつ上がってきたとの指摘もある。実際には高齢化の伸びの部分は上がっていないが、この10年間で勤労者の給料はほとんど上がっていなかったのに、社会保障費のみ上がってきたということを捉えて、今後は社会保障費の伸びの目安を勤労者の給料の伸びの下に抑えて、保険料の負担を減らすということを強く主張している。給料は上がったものの、インフレの方が強く、実質賃金はマイナスだ。それ以外にまた診療報酬を抑えるという方針を打ち出しており、今後、医療費はより厳しい状況になると考えられる。
 医師の偏在対策では、東京や大阪等の都市部は診療所が非常に多いとのことで、統制的手段で規制するというような意図を厚生労働大臣が表明している。具体的には現行の診療報酬1点単価10円を引き下げ、8円にするのか7円にするのかは不明であるが、そういうことで都会での新規開業を抑制していくという方向性も示されている。その分を地方に移すというわけでもなさそうであり、都会の診療所叩きがどんどん拡大するのではないかと憂慮している。
 薬剤の問題に関しても、今まで日本では医学的に安全性・有効性が十分検証されたものに対しては薬価収載しているが、これも費用対効果を視野に入れているようだ。高額な新薬については、その薬を導入することで患者の生命予後に大きな効果がなければ薬価収載しないということも選択肢に入れるような動きもある。
 医療界にとっては今後も厳しい時代が続くが、医師会がそれに適切に対応していけるのか懸念している。