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医師・医療関係者のみなさまへ

令和5年度第4回周産期医療研修会

府医ニュース

2024年6月19日 第3075号

周産期のグリーフケアをテーマに開催

 大阪府医師会は2月17日午後、令和5年度第4回周産期医療研修会を府医会館およびウェブとのハイブリッド形式で開催。「周産期の終末期における意思決定支援とグリーフケア」をテーマとし、医療従事者など約220人が参加した。
 はじめに笠原幹司理事があいさつ。グリーフケアへの理解を深めてほしいと述べた。
 講演では、亀谷英輝氏(市立ひらかた病院産婦人科主任部長)と大西聡氏(大阪公立大学大学院医学研究科発達小児医学分野准教授)が座長を務め、米虫圭子氏(日本グリーフ&ビリーブメント学会理事・臨床心理士/京都産業大学学生相談室主任カウンセラー)が「周産期の死――家族のグリーフとケア」と題して登壇した。はじめに、死別後のグリーフ(悲嘆)反応は身体、感情、行動などに変化が表れると解説。絶対的なグリーフ反応はないが、共通した反応はいくつか見られるとし、子どもを亡くした親は、後悔・罪悪感、怒り等がよく表出されるとの特徴を示した。そのほか、赤ちゃんとの死別は「公認されない悲嘆」にあたると紹介。乳児・新生児の死亡率が低い日本では、その悲しみを周囲に言えず助けも求められない、そしてサポートする取り組みも少ないという悪循環が起こっているとの見解を示した。さらに、理解し共感しようとする「意識」が家族のケアを行う上で必要だと語った。
 続いて、和田浩氏(医療福祉センターさくら小児科医)が「周産期の死――医療者が家族を支えるために」をテーマに講演。小児・新生児の医療における意思決定は現在、患者・家族が医療スタッフのパートナーとして、根拠に基づく情報を共有しつつ意思決定を行う「協働意思決定」が中心と説明した。そのほか、グリーフケアの取り組みとして遺族会に触れ、家族がリラックスするための工夫や配慮を紹介した。最後に、「ともに悲しみ」「悲しみに寄り添う」ことからグリーフケアは始まり、家族とともに「喜ぶ」こと「悲しむ」ことを大切にすることが、より良いグリーフケア、日々のより良い診療やケアにつながっていくと締めくくった。