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日医「小児在宅ケア検討委員会」が最終答申を手交

府医ニュース

2024年6月5日 第3074号

 日本医師会「小児在宅ケア検討委員会」(中尾正俊委員長/大阪府医師会副会長)は4月8日、松本吉郎・日医会長に最終答申を手交した。

 令和4年12月の委員会開催時に、松本・日医会長から諮問を受けた「医療的ケア児の自立を支援する地域共生社会の実現」に向けて検討し、昨年5月には6年度診療報酬改定に向けた中間答申を作成。今回の最終答申は、引き続き、小児在宅医療を全国の地域医師会が推進していけるよう、各地域の実情および課題に対して熱心な議論を行い、まとめたものである。
 下記11項目について各委員が執筆。中尾委員長は「2.こども家庭庁について」の項目を担当した。年齢による区分やサービスの違いで、厚生労働省、文部科学省、こども家庭庁の間で所掌が分かれているものが多いため、3つの省庁でのより緊密な連携について日医からの強力な働きかけを求めた。
 さらに、答申では今回が初めてとなる▽小児の緩和ケア▽子どもホスピス▽小児のACP――について論述。成人のACPに比べて小児に関してはほとんど進んでいないのが現状である。なお、子どもホスピスは、世界で標準とされる定義はないが、英国を中心に考えられており、日本では「終末期の子どものケアや看取りを主に行うという意味」で、狭義の子どもホスピスとされている。そのため、日本国内には子どもホスピスが3カ所しかなく、施設の充実が求められる。
 答申手交の際、中尾委員長は、「現在、全都道府県および市町村において、医療的ケア児に対する取り組みが進んでおり、国においても、厚労省、文科省に加え、こども家庭庁の発足により、医療的ケア児へのより充実した公助が進むことが期待されている。特に、元日に発生した能登半島地震において医療的ケア児に対する『避難行動要支援者名簿』や『個別避難計画』の作成が、多くの市町村でいまだなされていない状況を鑑みると、日医には、国に対して積極的な働きかけお願いしたい」と要望した。
 本答申は、5月20日に日医メンバーズルームに掲載されている。

小児在宅ケア検討委員会 最終答申 〈項目〉
1.医療的ケア児支援センターについて
2.こども家庭庁について
3.小児在宅医療体制の整備・充実
4.移行期医療について
5.保育・教育について
6.小児の緩和ケアについて
7.保護者への支援について
8.市町村の協議の場について
9.障害福祉サービスの底上げ
10.自立支援
11.災害対策について