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EVかPHVか

府医ニュース

2024年6月5日 第3074号

 最近の中国の動きを見ていると、電気自動車(EV)一辺倒と思っていた自動車製造が、プラグインハイブリッド自動車(PHV)に取って代わっている。日本ではEVというとハイブリッド自動車(HV)まで入るが、中国ではEVはEVだ。この定義の違いが、微妙な認識の違いを生み出している。中国ではEVと呼ばれる電気自動車ばっかり走っている感覚に囚われるが、実際は半数以上がPHVであり、ガソリンでも動くのである。私は以前将来の日本のPHVの見通しを、さるディーラーに聞いたことがある。EVに積むくらいの大きな電池を、走行中にエンジンだけでフル充電しようと思ったら、エンジンのパワーは落ちるは、燃費は落ちるは、また何百キロも走らないといけないから、ちっちゃい電池しか積んでいませんと言われた。どっちも行ける水陸両用を期待したのであるが、日本のPHVの電池容量は、街の充電器数に制約され、近距離専用で意味があるそうだ。
 しかし充電費用が安いということで、猫も杓子もEVにしたら、政府は黙っていない。ガソリン税に代わる税金をかけてくるに決まってる。それに産油国も黙っていない。電気に匹敵する値段まで石油の値段を下げるだろうし、またガソリンスタンドは、安い電気を売る電気スタンド敷設を渋るだろう。中国のように国家主導の政策ができる国では、至る所に電気スタンドができても、オイル利権が渦巻く日本では、結局バランスが取れるところに拮抗するのだ。玉虫色のPHVの電池の大きさは、結局オイルマネーが決めているとも言えるわけである。
 目まぐるしく変わるEVの世界に、少し疲れてきた。もうこうなったらガソリンで居直るのも、気持ちが良いかもしれない。最近複数メーカーが、1980年代の人気ガソリン車の再生産を始めた。世論に居直るガソリン車にインパクトがあるわけで、ハーレーが音姫付きになるとは思えない。結局日本はHVからPHVになる道を模索しているが、中国もEVからPHVを目指してきた。日本では中国EV大歓迎というわけではないが、切磋琢磨の良い競争は、シェア的に世界を席巻してしまう。欧州や米国からみれば、日本の次は中国になる。極東は一塊だ。米国と中国のEV論争で、得をしているのは日本かもしれない。(晴)