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府医ニュース

2024年6月5日 第3074号

 ◆「禾(のぎ)」は稲穂を、「兌(だ)」は一部を抜き取ることを意味する。「税」は元々穀物で納めていた。日本ではすでに弥生時代に穀物を納め労働力を提供する租賦という税制が存在していた。
 ◆その後、大化の改新による公地公民制から大宝律令の租・庸・調、墾田永年私財法、年貢・公事・夫役、太閤検地、五公五民へと変遷する各時代の税制は日本史の教科書にも詳しい。まさに「税は国家なり」を表している。
 ◆明治時代の地租改正以降は所得税、法人税、消費税などが創設され、現在の税制はもはや複雑怪奇である。そこに昨今、新たに「ステルス増税」なる税制が取り沙汰されている。子ども・子育て支援金に森林環境税はいかにも反対を呼ばない名称の税で、復興特別所得税の延長と一部防衛費への転用など次々と新税が打ち出され、知らぬ間に国民負担が膨らむ。義務とはいえ今や税は納めるというよりもぎ取られる感がある。
 ◆実質賃金のマイナスが続く中、減税を求めて一揆を起こすことも叶わず、倹約と節税対策に励むしかない。(誠)