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第28回耳の日セミナー

府医ニュース

2024年6月5日 第3074号

難聴や補聴器について解説

 大阪府耳鼻咽喉科医会(有賀秀治会長)は日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会大阪府地方部会と共催で3月3日午後、大阪市内で「耳の健康を考える」をテーマに第28回耳の日セミナーを開催。府民ら約280人が参加した。

 有賀・耳鼻咽喉科医会長は冒頭、当セミナーが耳について考えるきっかけになればとあいさつ。あわせて、同医会が出務協力する中央急病診療所に触れ、休日夜間における対応窓口を案内した。
 続いて、3題の講演がなされた。はじめに、須波浩之・同医会理事が、「聞こえの仕組み」と題し登壇した。音が伝わるメカニズムや聴力検査、難聴の種類などを解説。高齢者の難聴には、▽話し言葉が不明瞭▽大きな音がうるさくて不快▽聞きたい音が聞き取りにくい――などの特徴があると詳説した。補聴器を考える際は、まず耳鼻咽喉科で検査した上で、身体障害者認定や補助金制度について自治体に確認するよう呼びかけた。
 次に、猪原秀典氏(大阪大学大学院医学系研究科耳鼻咽喉科・頭頸部外科学教授)が、「難聴と認知症――聴こえ8030運動」について講演した。聴覚への認識の低さを指摘し、難聴が及ぼす様々な弊害を説示。難聴は認知症リスクを高めると注意を促した。また、80歳で30dBの聴力を保つことを目的とする「聴こえ8030運動」を紹介。70歳を迎えたら、難聴進行予防の指導や定期的に聴力検査を受けるよう求めた。
 続いて、日高浩史氏(関西医科大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科学准教授)が、「快適な補聴器ライフを送るために――耳鼻咽喉科医による診断、処置、手術」と題し、補聴器装用に係るポイントを伝えた。診察・検査を基に聴力に応じた補聴器を選定し、難聴で変化した脳を少しずつ慣らしていくことが大切と語った。そのほか、高度難聴に対する選択肢として人工内耳を説明した。
 最後に、中村晶彦・同医会副会長は、聞こえづらさを放置せず、必要に応じて補聴器を活用することに期待し結んだ。