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医師・医療関係者のみなさまへ

令和5年度第2回勤務医部会研修会

府医ニュース

2024年6月5日 第3074号

生成AIを医療現場で活用

 大阪府医師会勤務医部会(澤芳樹部会長=府医副会長)は2月10日午後、府医会館で令和5年度第2回(通算第63回)勤務医部会研修会をウェブとの併用で開き、約200人が聴講した。5年度より設置されたU40OSAKA勤務医部会が主体となり、「生成AIの最新情報および働き方改革に向けた活用方法」をテーマに、基調講演と若手医師3人が生成AIの活用術を語った。
 杉本圭相・勤務医部会副部会長(府医理事)および林義人氏(U40OSAKA勤務医部会委員)が座長を務め、はじめに清水智之・同部会常任委員(府医理事)があいさつ。生成AIの実用化が現実のものとなり、医療への展開も見込まれるとし、本日の研修を今後の参考にしてほしいと述べた。
 まず、香田将英氏(岡山大学学術研究院医歯薬学域地域医療共育推進オフィス特任准教授〈オフィス長〉)が、「医師の働き方改革に向けた生成AIの活用」と題して基調講演を行った。冒頭、生成AIの仕組みを解説。「テキスト間の関係性から次の語を推測する」とした。その上で、生成AIは「仕事を補完するもの」だと説明。労働者の基礎能力を埋める役割との見方を示した。一方で、▽個人情報の流出▽ハルシネーション(正しい情報かのように誤った情報が混入するリスク)▽著作権――といった問題もあると注意を促した。
 香田氏は、生成AIに関しては「文書作成の補助やアイデア出しで有用」と強調。例を示しながら、コマンドで指示する際のコツを伝えた。

生成AI活用例と未来展望について若手医師3人が発表

 引き続き、「勤務医が語る生成AI活用例と未来展望」として、原田尚憲氏(府中病院血液疾患センター)、廣瀬卓氏(近畿大学病院初期研修医)、近藤猛氏(名古屋大学医学部附属病院卒後臨床研修・キャリア形成支援センター助教)が、実際に米OpenAI社のChatGPTをどのように活用しているのかを発表した。原田氏は、英語への翻訳や統計資料作成の際のプログラミングで使用していると言及。廣瀬氏は、患者への病状説明の際に参考にしていると述べた。近藤氏は、画像生成、アンケート等の分析、当番表作成などでの利用を挙げた。
 その後、フロアやウェブ参加者も交えて討議。リスクや将来への見通しなども含め、様々な意見が出された。