TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ

勤務医部会活動報告

「熱量」――新研修医ウェルカムパーティーを終えて

府医ニュース

2024年5月29日 第3073号

 去る4月6日に大阪府医師会主催で「新研修医ウェルカムパーティー」を開催した。まずは、ご多忙の折、本会に参加いただきました府医役員、郡市区等医師会の先生方、医師信用組合、医師協同組合の役員、臨床研修病院の先生方、勤務医部会メンバーの皆様に、この場をお借りして深く感謝申し上げたい。
 とは言えども、本会の主役は新研修医達である。本会を終えた私の感想を一言で表すなら、その新研修医達の「パワー」である。まだ国家試験を通過しただけに過ぎず、「医師」の名札をつけられたばかりの新研修医達ではあるが、そんな新研修医達から伝わる熱量は大きかった。熱量の中身が何なのかは個々で変わるだろうが、当日の会場はマイクで話しても声が通らないくらいの状態となった(ただ好き勝手に騒いでいたという見方もでき、司会である私の不手際であったことを、この場をお借りしてご容赦いただきたい)。
 さて、自分の卒業後を少し思い出してみると、それなりの熱量があったと思う。今も当然ながら一定の熱量はある。しかし、まだ無垢・無知の状態であったり、若いからこその熱量があり、やりたいことのベクトルが今とは異なっていたと思う。その後、失敗、成功、スキル、経験、体力、知識などが複雑に絡まり、今の自分を作り出している。ただ、その過程には欠かせないものがある。それは「人」である。当時から今を振り返り、(意識的、無意識的にかかわらず)自分に関わってくれた無数の人がいる。患者さんもしかり、勤務地のスタッフ、家族などなど。無数の人と、無数のネットワークが形成されてきた。自分を含めた無数の人それぞれの熱量が存在しているが、ネットワークがなければ、熱量はおそらく小さなものとなるか気付かれないままである。
 しかし、今回の新研修医ウェルカムパーティーが大変な熱量に感じたのは、個々がつながったからであろう。私の時代はこのように他病院の同期や先輩医師と関わる機会はほぼなかったと思う(自分が気付かなかっただけかもしれないが……)。今はインターネットにより、自らが動かなくてもネットワークは容易に形成でき、かたち上、つながったことを感じることはできる。ただ、感じることはできないのが、この熱量なのだと思う。
 今回、私自身も近畿大学の卒業生はもとより、他の研修医とも会話を交わした。仮に強いインパクトはないにせよ、お互いにこんな人がいるんだなと少しでも感じることができればそれで良いと思う。ふとした時に、どちらかが思い出し、どこかでつながるかもしれないし、他とのつながりを増やすかもしれない。そうして個々の熱量が増大するきっかけになる。
 医師会って、「何のために入会するの? 何してるの? メリットは何?」というのは、よくある質問である。多くの場合、可視化しにくいが、医師会は、医師会に所属する人を通して、個々、そして個々と社会をつなぐ非常に重要な業務を担っていると私は思う。

府医勤務医部会副部会長(府医理事) 杉本 圭相