
TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ
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府医ニュース
2024年3月27日 第3067号
我が国の死因の第2位は心不全を含む心疾患であり、その患者は年々増加している。また、高齢化に伴い、高齢心不全患者が大幅に増加する「心不全パンデミック」が現実味を帯びている。そのような中、心不全の発症を未然に防ぐ、あるいは早期に発見することで、予後の改善だけでなく、医療費の削減も期待できる。
和泉市医師会(泉谷良会長)では、心不全の予防・早期発見のため、令和3年に心不全地域連携推進委員会を設置し、ハートノート(※)の活用により、心不全治療連携協力医療機関(35施設)と基幹病院(2施設)で医療連携を推進している。
さらに、心不全治療連携協力医療機関において、リスク患者の調査を実施した。高血圧や糖尿病、心房細動などの既往歴のある患者を対象に、BNP値(脳性ナトリウム利尿ペプチド)を測定・解析。746件のデータのうち、25.6%が前心不全、14.3%が心不全の可能性が高いと判定され要精密検査の対象となるなど、効率の良いスクリーニングが実現できる可能性を見出した。
こうした取り組みを踏まえ、同医師会はBNP測定が心不全の予防・早期発見に寄与するとして、特定健診にBNP測定を導入することを和泉市行政に提案。同市独自の追加検査として、「心不全検査事業」を要望し、6年度より1643万5千円の予算が認められた。
泉谷・和泉市医師会長は「市長宛に要望書を提出するなど、粘り強い交渉が実った」と振り返り、「予算概要のトップに本事業が記載されており、同市の意気込みを感じることができた。他の市区町村でも同様の取り組みが広がれば心不全患者の減少につながる」と展望を語った。
※ハートノート:「大阪心不全地域医療連携の会」で発案された心不全での再入院を減らすための自己管理ツール