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時の話題
府医ニュース
2024年3月27日 第3067号
2月26日、厚生労働省の「医師養成過程を通じた医師の偏在対策等に関する検討会」は、2026(令和8)年度医学部臨時定員について議論した。
釜萢敏構成員(日本医師会常任理事)は、将来的な人口減少を視野に、「定員が増えないようにしなければならない」と主張。一方、全国知事会を代表して花角英世構成員(新潟県知事)は、代理出席者を通じて「前年度比の増加も含めて認めてほしい」と訴えた。検討会では、26年度医学部臨時定員に関して、今春に方針を決定する方向で議論を進めている。
日医総研「医療関連データの国際比較――OECD Health Statistics 2021(令和4年3月公表)」によると、2018(平成30)年の日本の医師数は、人口1千人当たり2.5人の33位(OECD38カ国の平均は3.6)と少ない。薬剤師数は人口1千人当たり1.9人で大差を付けての1位であった(同平均は0.9)。
看護師数は、人口1千人当たり11.8人の8位と比較的多い。日本では医師が少なく、薬剤師や看護師が多いのが特徴と言える。そのため、医師の負担軽減を目的としてタスクシフト・シェアが進められようとしている。
現在日本の医師数は、右肩上がりに増えており、G7との比較ではカナダ(2.7)、アメリカ(2.6)に近付いている。厚労省は2033(令和15)年頃に医師需給が約36万人(人口1千人当たり3.1人)で均衡すると推計している。
2022(令和4)年の日本の合計特殊出生率は1.26で、7年連続で低下している。人口減少が進む一方で、平均寿命は世界の上位であり、ますます少子高齢社会が進む。その状況下では医療の内容も変わり、急性期から回復期・慢性期、医療から介護へと移行すると考えられる。また、一部の診療科目では需要も少なくなることが想定される。
医師不足地域対策として、熊本大学病院に寄付講座が設置され、県内の医師不足地域への医師派遣システムを構築している。県は2019(令和元)年以降、熊本大学病院に「地域医療連携ネットワーク実践学寄付講座」(1期3年・年間2億円)を設置し、現在2期目である。県内外284医療機関に医師585人を派遣している。この取り組みは他の医師不足地域でも参考になる。
現在、韓国は医学部の定員を6割増やすと発表し、それに反対する研修医約1万人が職場を放棄し、医療現場に影響が生じている。韓国の医師数は、人口1千人当たり2.5人で日本と同水準である。人口減少が急速に進む韓国の医師は、医学部定員増には危機感が強く、医師数を増やすよりタスクシフト・シェアが先とし、給与面でも待遇改善を要求している。
しかし、感情的な職場放棄は、賛否両論があると思う。国民からは支持されないだろう。