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医師・医療関係者のみなさまへ

加藤・前厚労大臣が解説

府医ニュース

2023年11月1日 第3053号

医療DX、診療報酬改定の方向性

 加藤勝信・前厚生労働大臣による講演会が10月8日午後、大阪市内のホテルで行われた。新型コロナウイルス感染症対策への取り組み、医療DXや診療報酬改定の方向性などが示され、約350人が聞き入った。

 冒頭、高井康之会長があいさつ。加藤・前大臣は医療制度に精通しており、本日の講演を通じて理解を深めたいと語った。
 引き続き、加藤・前大臣が、「コロナ禍乗り越え、新たな時代に――『医療DX』から『診療報酬改定』まで」と題して講演した。
 まず、新型コロナへの対応に感謝を述べつつ、新型コロナの現状や季節性インフルエンザの流行についての考え方に触れた。来年4月にはコロナも季節性インフルエンザ等と同様の医療体制となり、診療報酬体系が見直される。一方で、感染拡大の脅威にも対応が必要だとした上で、加藤・前大臣は、次のパンデミック対策として、地域医療体制の強化を強調。内閣感染症危機管理統括庁の立ち上げや、国立健康危機管理研究機構の創設を伝え、「感染症危機対応の強化を目指す」と力を込めた。
 次いで、マイナンバーカードと健康保険証を巡る課題に言及。紐づけの誤りや使用率の低さなどを指摘し、今後の利用拡大の方向性や効果的な活用方法を伝えた。加えて、電子カルテ導入やオンライン資格確認をプラットフォームに、医療DXを進め、医療の効率化や質の向上を図ると主張。その上で、「世界をリードする医療システムの構築を目指す」との意向を示した。

トリプル改定への対応

 令和6年度は診療報酬、介護報酬、障害福祉サービス等報酬の同時改定が行われる。加藤・前大臣は、物価と賃金の上昇などを背景に、骨太方針で「患者・利用者が必要なサービスを受けられるよう、必要な対応を行う」と明記された旨を報告。医療・介護・福祉の支え手を確保できなければその基盤が維持できなくなると述べた。
 最後に、国民の安心・安全を守る医療制度を持続させるためにも適切な診療報酬改定が必要とし、一層の協力を呼びかけた。