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医師・医療関係者のみなさまへ
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府医ニュース
2023年11月1日 第3053号
布施医師会(平松久典会長)は10月7日夕刻、在宅医療に関わる職種を対象に「第32回布施緩和ケア研修会」をオンラインで開催した。今回は「言薬(ことぐすり)×地域連携×緩和ケア」をテーマに実施。基調講演とフリーディスカッションが行われ、約250人が聴講した。
川邉正和氏(同医師会理事)・福村雄一氏(東大阪プロジェクト代表)が司会を務め、はじめに柏井朗氏(同医師会副会長)があいさつ。多職種連携においてもコミュニケーションは重要であり、本日の講演が参考になればと期待を寄せた。
次いで、大坂巌氏(社会医療法人石川記念会HITO病院緩和ケア内科部長)が、「がん患者への言薬(ことぐすり)」と題して講演した。「言薬」とは、「言葉は薬になる」という考えから大坂氏が名付けたもので、「誰もが自分自身や他者に対して使用できる」と説明。しかし、表情や態度などの非言語的メッセージが一致しなければ、「その伝達効果は限定的になる」と語った。
また、「言薬」は、傾聴することも大事だと指摘する。相手を大切にしているという行為であり、「声にならない声」に気付く意識を高めてほしいと述べた。その上で、「話すは技術、聴くは器」との言葉を引用し、真摯に聴くことの重要性を改めて強調した。
「言薬」の実例では、「大変でしたね」という表現を紹介。これは過去の経験や努力を正当に評価するもので、患者やその家族に寄り添う気持ちを表せていると説いた。そのほか、ふさぎ込んでいた患者に大坂氏がかけた言葉で前向きになった事例なども提示。淡々と数値を説明するだけでなく、「自分の感情を表現しても良い」との考えを示した。
一方で、「言薬」は適切に使用しなければ副作用を引き起こす可能性があると言及。自らを豊かにし、対話力・コミュニケーション力を磨いていくことが重要だと結んだ。
引き続き、大石美幸氏(市立東大阪医療センター看護師)がファシリテーターとなり、「癒しの対話」をテーマにフリーディスカッションを展開。大坂氏、柏井氏、川邉氏に坊下太喜氏(社会福祉士)、土井雅永氏(主任介護支援専門員)、池田輝美氏(介護福祉士)が加わり、言葉の大切さを再確認した。