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モズの初鳴き

府医ニュース

2023年9月5日 第3047号

 厳しい残暑が続いている。
 温暖化とともに環境の変化が生物に与える影響は多数報告されている。急速に進行する気候の変化は、多くの生物にとって危機をもたらしている。
 気象庁の生物季節観測は、現在、アジサイの開花、イチョウの黄葉・落葉、ウメの開花、カエデの紅葉・落葉、サクラの開花・満開、ススキの開花の6種目9現象だ。以前の植物34種類、動物23種類から大幅に縮小したのは2021年1月のことだ。
 季節の遅れ進みや、気候の違い、変化など総合的な気象状況の推移の把握を目的とするが、生物の生態環境が変化し、植物は適切な場所に標本木を確保することが難しく、動物は対象を見付けるのが困難となってきたことが、縮小の理由だ。
 廃止された動物の項目の一つに、「モズの初鳴き」がある。モズが最初に鳴いた日を初鳴日とする。9月下旬頃だそうだ。モズが鳴いたから、秋が来たと感じたことはないのだが、モズと言えば、大阪府の鳥。仁徳陵築造の際、倒れた鹿の耳からモズが飛び去ったことから、その地を「百舌鳥耳原」とした(日本書紀)。地名由来になっている点、府下でも普通に見ることができる点より、府の鳥に指定されたそうだ。
モズ鳴けど
   今日が昔に
     なりきれず
谷川俊水
 俊水は、詩人谷川俊太郎の俳号。いまどきめったに聞くことがない懐かしいモズの鳴く声を聞いた。現代の「今日」は、いま私達が「昔」を懐かしむというような「昔」にはなりきれないだろう、という意味だそうだが、懐かしく思える昔となる「今日」を積み重ねていきたい。(颯)