
TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ
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府医ニュース
2023年6月7日 第3038号
第31回日本医学会総会2023(春日雅人会頭/朝日生命成人病研究所長・国立国際医療研究センター名誉理事長)が4月21日~23日、東京国際フォーラムおよび丸の内・有楽町エリアで挙行され、約3万7千人の参加があった。
本総会は、1902(明治35)年「第1回日本聯合医学会」として開催以来、4年ごとに実施。現在、日本医学会は142の医学系学会から構成され、100万人超が関与する。
少子超高齢社会の我が国で医学・医療・社会の連携と連帯による新しい生活様式が求められている状況下において、「ビッグデータが拓く未来の医学と医療――豊かな人生100年時代を求めて」をメインテーマに掲げた。連日様々な分野の医学・医療の研究者・従事者のほか多くの市民も参加。今回はウェブ配信を併用したハイブリッド形式で、期間中は多くの学術プログラムが催された。産業医セッションについては、総会では初めて全国にサテライト会場が設けられ、各地の医師会が協力した。
開会式は、諏訪内晶子氏(ヴァイオリン)・阪田知樹氏(ピアノ)によるコンサートで始まった。天皇皇后両陛下、岸田文雄・内閣総理大臣ら来賓の臨席の下、宮園浩平副会頭が開会宣言。門田守人・日本医学会長の開会の辞、来賓の松本吉郎・日本医師会長から祝辞が述べられた。
岸田総理は、「医療DXを通じたサービスの効率化や質の向上は、我が国の医療の将来を大きく切り開いていくものであり、政府としてもその実現に全力を挙げる」と明言。デジタル化の推進に意欲を示した。
天皇陛下はお言葉の中で「技術革新やビッグデータに体現されるデジタル革命により、未来の医学と医療は、人の一生を通して、人々の自立を支え、生き生きとした豊かな人生に寄り添うものとなることが期待される」と述べられた。
また、この3年間の新型コロナウイルス感染症の治療・研究、そして、これまでの医学・医療の発展への尽力に敬意を表された。
開会式後、総会のメインテーマに因み春日会頭による講演が行われた。まず、自身が専門とする糖尿病分野の発展を例に挙げて説示。豊かな人生100年時代においては、ビッグデータとAIの活用で医療の効率化が図られ、それが医療従事者の時間の余裕と心のゆとりにつながると期待を寄せた。革新的技術により医療の質の向上が考えられるが、医療への実装化には社会と対話することが重要だと強調した。
次いで松本日医会長が「日本医師会の医療政策」と題して登壇。かかりつけ医機能は地域において面として他機関と連携し、急変時等の対応を行うことが肝要とした。さらに、医療従事者への暴力・ハラスメント行為は労働環境はもとより患者のケアにも悪影響を及ぼすとし、日医でも対策に取り組んでいると明かした。
医師の働き方改革では、「医師の健康と地域医療の継続は重要だが、提供する医療の質を落としてはならない」と力説。医療者を守りながら、国民に安心・安全な医療を提供していくことが医師会の務めだと結んだ。
閉会式では、2027年(第32回)開催地・大阪での会頭を務める澤芳樹氏(大阪警察病院長/大阪府医師会副会長)があいさつ。今総会は時宜を得た大変素晴らしい大会であったと称賛。7回目の総会開催となる大阪では、2025年の「命」をテーマとした大阪・関西万博の2年後の開催になり、その流れを引き継ぎながら、「歴史に残るぐらいの感銘を受けていただける大阪らしい会にしたい」との抱負を語り、支援を願った。
4月15日~23日、子どもから大人まで楽しく学べる展示会が開催され、子ども達が医療体験できるコーナーなどの参加型企画も用意された。また、開会式前日(4月20日)には『開会記念特別講演会・市民公開講座』が開かれた。基調講演「デジタル化・AI化で思いやりに満ちた医療を!」(中村祐輔氏〈国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所理事長〉)、パネルディスカッション、オペラコンサートなどが繰り広げられた。
最終日には、栗原敏副会頭からの閉会宣言後、世界で活躍するピアニスト・辻井伸行氏によるスペシャルコンサートが催され閉幕した。