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府医ニュース
2022年9月7日 第3011号
訪問看護ステーションの利用者は、介護保険、医療保険ともに増加傾向である。平成13年では介護保険による利用者数は18万8千人であったが、令和元年では54万6200人と約2.9倍となった。医療保険においても4万8872人から28万8795人と約5.9倍に増加している。訪問看護の利用者率は、訪問診療同様、年齢とともに増加し、2025年以降に後期高齢者の割合が7割以上となり、地域差はあるものの、多くの二次医療圏において40年以降にピークを迎えると見込まれている。
訪問看護ステーションは、毎年、多くの新規事業所の立ち上げがあるものの、看護職員確保が困難等の理由から撤退する事業所も少なくない。二次医療圏の規模にかかわらず、看護職員数の多い事業所ほど、職員1人当たりの訪問回数が多い傾向があり、二次医療圏の規模別では、大規模型の医療圏の方がそれ以外の規模の医療圏と比較して、職員1人当たりの訪問回数が多い。
このような状況から訪問看護事業所の大規模化やグループ化、ICTの活用など様々な取り組みが行われている。小児については、訪問診療利用者数は約3200人、訪問看護を利用している小児は約2万人であり、そのうち半数程度が難病や医療的ケア(基準告知第2の1)に該当する児である。小児在宅医療については利用者数や提供医療機関数を把握できていない都道府県が多く、実態把握が今後の課題となっている。
現在、二次医療圏については、地理的条件等の自然的条件および日常生活の需要の充足状況、交通事情等の社会的条件を考慮して、一体の区域として病院および診療所における入院に係る医療を提供する体制の確保を図ることなどを配慮して設定されている。しかし、5疾病5事業ならびに在宅医療の医療連携体制を構築する際の圏域については、医療資源の整備状況や介護との連携の在り方が地域によって大きく変わることを勘案し、従来の二次医療圏にかかわらず、患者の移動状況や地域の医療資源等の実情に応じて弾力的に設定することとされている。
つまり、退院支援、生活の場における療養支援、急変時の対応、看取りといった各区分に求められる医療機能を明確にして圏域が設定される。第7次医療計画においては、在宅医療提供体制を構築するにあたっての圏域の設定単位は、二次医療圏としている都道府県が66%であった。多くの都道府県の医療計画には、「在宅医療を積極的に担う医療機関」「在宅医療に必要な連携を担う拠点」に関して具体的な記載がない。
「在宅医療連携モデル構築のための実態調査報告書」(平成29年度)では、地域の診療所で在宅医療を維持・推進する上での課題として、「在宅医療に携わる医療従事者の確保」が最も多く、次いで「急変時に対応するための後方支援体制の整備」等が挙げられた。在宅医療の推進には、地域の実情に応じた医療圏の設定、さらには連携強化、人材確保、後方支援体制構築のための積極的な財政措置が必要と考える。