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府医ニュース
2021年10月27日 第2980号
夜遅く水を飲む時、清少納言の枕草子に「心ゆくもの」として挙げられている「夜寝起きて飲む水」がふと頭に浮かぶことがあります。
清少納言は、日常のちょっとした物事で「心ゆくもの」、すなわち、心楽しくなるもの、満足するものを並べているのですが、他にもいろいろ挙げられている中で、どういう訳か私は、この「夜寝起きて飲む水」だけを覚えています。
私は、一度寝てから起きて水を飲むことはないので、正確に言えば「夜遅く飲む水」ですが、なぜか、昼間飲むよりも美味しいと感じます。スーパーで買ったペットボトルの水か、浄水器を通った水道の水なので、特別な名水というわけでもなく、昼間飲んでいる水と同じなのですが。枕草子のこの一節が頭に浮かぶと平安時代にも同じように感じた人がいたのだと思います。
他には何が挙げられているのか、今回、調べてみました。「上手く描かれた絵に素敵な物語も書いてあるもの」「白くてきれいな高級な紙にとても細い筆で手紙が書いてあるもの」「サイコロでゾロ目がたくさん出ること」など、なるほどと思うものもありますし、「話が上手な陰陽師と河原に出て、呪詛を祓い除く祈祷をしてもらうこと」のようなその時代ならではのものもあります。
「退屈している時に、あまり親しくない人が訪ねてきたのだけど、意外にも話がおもしろくて良かった」というのもありますが、今は長引くコロナ禍で、人と訪ねあって長時間話すことが困難となっています。
コロナに対応しつつも「心ゆくもの」を探して過ごしたいと思います。
(瞳)