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時の話題
府医ニュース
2021年9月15日 第2976号
6月18日、令和3年の「骨太の方針」「成長戦略実施計画」などとともに、「規制改革実施計画」が閣議決定された。「規制改革実施計画」の柱は、デジタルガバメントの推進、デジタル時代に向けた規制の見直し、成長の加速化や地方を含めた経済活性化に資する規制改革などである。コロナ危機において脆弱性があらわになった「書面・押印・対面」を原則とした制度・慣行・意識を抜本的に見直すものである。
9月1日には、内閣直属のデジタル庁が発足した。デジタル庁にはマイナンバー活用の拡大、地方自治体の行政システム統一化など、デジタル化に関して強力なリーダーシップを発揮することが求められている。
マイナンバーカードの交付枚数率は、8月1日現在、全国で36.0%と低迷している。政府は令和4年度までにほとんどの国民がマイナンバーカードを保有することを目指しており、デジタル庁はその主導的な役割を担うことになる。
また、国はオンライン診療を平成30年度から再診に限って解禁。同年3月に厚生労働省から「オンライン診療の適切な実施に関する指針」が示された。現在、初診についても令和2年4月に新型コロナウイルス禍における時限的・特例措置として認められている。
これまでオンライン診療に関する感染収束後の対応については、厚労省の「オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会(以下、検討会)」において、初診に関しても、①定期的に受診している場合②過去に受診歴のある場合③過去に受診歴がない患者――について、かかりつけ医等からの情報提供を受けた場合を認める方向で議論されてきた。
そのような中、厚労省は6月30日の検討会で、「規制改革実施計画」やこれまでの議論を踏まえ、今後検討すべき事項の方針を示した取りまとめ案を了承した。
厚労省は、①初診からのオンライン診療の取り扱いについて(初診からのオンライン診療に必要な医学的情報の詳細、初診からのオンライン診療に適さない症状・医薬品等)②オンライン診療の推進について(医療提供体制におけるオンライン診療の役割、規制改革実行計画における「オンライン診療の更なる活用に向けた基本方針の策定」について)③オンライン診療の安全性・信頼性に関する事項(初診・再診問わず、医師・患者の同意や、不適切事例への対応等、安全性・信頼性の担保に関するその他の論点)――の3点を今後の検討課題としてまとめた。
規制改革実行計画で「初診からのオンライン診療は原則かかりつけ医による実施とし、かかりつけ医以外が実施する場合は医学的情報で患者の状態が把握できる場合とする」と示したことを前提に、今後の検討会で医学的情報の詳細や、初診からのオンライン診療に適さない症状、医薬品などについて議論し、今秋中の指針改定を目指している。