TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ

本日休診

薬の日

府医ニュース

2021年5月5日 第2963号

 5月5日は、こどもの日や端午の節句としてよく知られていますが、「薬の日」でもあります。
 日本書紀によれば、611年5月5日、推古天皇は百官を率いて、大和の菟田野(現在の奈良県宇陀市)で、薬になる草や木を採取する薬狩りを催したそうです。その後、毎年の恒例行事となり、この日を「薬日(くすりび)」と定めたとあります。この日に摘んだ薬草には特別の効能があると伝えられ、先人達は山野を巡って薬狩りを楽しんだとか。
 採取した薬草には、菖蒲(しょうぶ)や蓬(よもぎ)など、香りの強い植物が多く含まれており、お風呂に入れると、疫病や邪気を払い、子どもの健やかな成長をもたらすと考えられてきました。今日でも菖蒲湯に入る風習が残っています。菖蒲に含まれるアザロン、オイゲノールといった精油成分が鎮痛や血行改善に働くといわれ、根茎を日干しした菖蒲根は生薬として、健胃・鎮痛などの効果が期待されます。また、蓬は、精油成分シネオールやクロロフィル、鉄分なども含まれ、外用や内服を問わず利用されています。葉や枝先を乾燥させた艾葉(がいよう)という生薬は、消炎や止血、止瀉などの作用を有します。
 採るならひ
  今につづけて
   薬の日
    宮城きよなみ
 令和3年5月5日、3度目の緊急事態宣言下の大阪です。気軽に山野に足を運ぶこともままならない状況ですが、暮らしの中へ自然を取り込み、こころとからだを整える時間を持つことも大切ではないでしょうか。(颯)