TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ
TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ
府医ニュース
2020年7月29日 第2935号
日本医師会は6月27日午前、第147回定例代議員会(池田秀夫議長/定数372人)を日医会館で開催。例年と異なり、新型コロナウイルス感染症対策として、代議員らはマスクやフェースシールドを着用し、議案を審議した。また、今回は任期満了に伴う役員改選があり、選挙によって中川俊男・日医会長が誕生した。
日医代議員会議長の任期が満了しているため、はじめに事務局が田村瑞穂代議員(青森県)を仮議長に推薦。代議員の承認を得て、同氏が進行した。議長には、馬瀨大助代議員(富山県)と池田秀夫代議員(佐賀県)が立候補。選挙の結果、池田氏が191票を獲得し議長に選定され、以後の進行を担った(馬瀨氏174票、無効0・白票5)。なお、副議長は定数内で太田照男代議員(栃木県)が選定された。次に、池田議長より議事運営委員会委員8名が紹介された(近畿からは上林雄史郎代議員〈和歌山県〉が就任)。
今回は新型コロナ対策として議事運営が早められたため、報告事項の「令和2年度日医事業計画および予算」「令和元年度日医事業報告」については、詳細な説明を割愛。中川俊男副会長・今村聡副会長より、「資料を参照願いたい」との補足がなされた。続いて、池田議長より財務委員会委員(近畿からは越智眞一代議員〈滋賀県〉、加納康至代議員〈大阪府/大阪府医師会副会長〉、平石英三代議員〈和歌山県〉が就任)が指名され、直後に財務委員会を開催。今回新たに選ばれた角田徹委員長(東京都)は、1月24日に開催された前期の同委員会の審議状況などを示し、「適正であった」と報告した。
議事では、▽元年度日医会費減免申請▽同年度日医決算▽3年度日医会費賦課徴収――が上程され、いずれも挙手多数で承認された。引き続き、会長選挙を実施。定数1に対し、現職の横倉義武氏(福岡県)と同氏の下で副会長を務めた中川氏(北海道)が争い、投票の結果、17票差で中川氏が新会長に選任された(中川氏191票、横倉氏174票、無効票2、白票4)。副会長候補者・常任理事候補者も定数を超える立候補があったものの、会長選挙後に取り下げられたため、いずれも定数に収まり、候補者が無投票で選任された。また、日医理事、監事、裁定委員も同様に選任。その後、会長、副会長、常任理事が選定された。なお、今期の日医理事は中尾正俊・府医副会長が務める。
最後に、日医新役員・裁定委員が登壇し、中川新会長があいさつ。今後は「オールジャパンで難局を乗り越えたい」と訴え、一層の協力を求めた。また、「横倉前会長は史上最高の会長のひとり」と語り、名誉会長への就任を提案。代議員からは大きな拍手が沸き上がった。
今回、日本医師会副会長として立候補していた茂松茂人・大阪府医師会長は、日医会長に中川俊男氏が選任されたことで、立候補を取り下げた。本紙既報(第2932号)のとおり、茂松会長は横倉陣営として参画しており、「新会長が決まった以上、更なる争いは無用」との思いから、選挙を回避した。
茂松会長は代議員会後、「選挙が終わればノーサイド。禍根を残してはならない」と明かし、今後はすべての医師が団結して難局を乗り越えるべきだと訴えた。また、会員の期待に応えられなかったことは残念としつつも、「今後は一層、府民・府医会員のために尽力する」と誓った。
第147回日本医師会定例代議員会は6月27日、朝靄に包まれた日医会館で始まった。ロビーで談笑する代議員が少ない。COVID―19にかかるためか、会長選挙にかかるためか。開会15分前に傍聴席に着くと、階下の議場は、既にほぼ全代議員がフェースシールド姿で着席。席を立ったり、言葉を掛け合うこともなく静淑で、緊張感がひしひしと伝わってくる。横倉義武会長あいさつ。「慎重な審議をお願いします」と。笑顔も労いの言葉もなく簡単に切り上げられた。一層議場の雰囲気が固くなる。
中川俊男副会長による「事業報告」、今村聡副会長による「議案説明」が淡々と進められ、質問・意見も出ず15分足らずで終了。議長が定型文を読み上げ、選挙が始まる。議場の雰囲気を反映して傍聴席の面々も息を殺して、議場を凝視している。議場が閉鎖され、代議員が順次、壇上の記名台へ。中央の投票箱へ。社会のIT化が進む中、古風な選挙風景と感じざるを得なかった。傍聴席の最前端から身を乗り出して、カメラを階下に向ける府医職員。府医選出代議員の先生方をカメラに収めようとされている。議場に落ちないかヒヤヒヤもの。
投票が終了すると、一転、議場の雰囲気は和らいだ様子。皆さん「賽は投げられた」の心境か。集計が終わり、結果の報告。投票総数371、中川候補191、横倉候補174、その他6。一瞬、議場がどよめく。傍聴席裏では報道関係者が「中川さんが当選!」と上ずった声で社に連絡している。日医会長としての実績に基づいて横倉候補を支持した府医としては残念なことであった。
現職の会長・副会長での選挙であり、双方の主張に大きな隔たりはないと感ずる医師会員は多いと思える。中川新会長は当選のあいさつで、顔を赤らめながら、今からは「オール医師会」で頑張りたいと宣言するとともに、横倉前会長の「名誉会長」への就任を提言した。即座に、議場の大きな拍手で承認され、COVID―19禍の下での異例の代議員会が終了した。医療機関の経営危機など各地区から出されていた質問・提言は今後しっかりと論議されることを期待したい。
日医会館を後にし、皇居東御苑へ。梅雨の合間の晴天、天主の石垣、立派な大手門、高木の林など江戸城跡の散策を楽しめた。手入れの行き届き様は格別である。各地にある城跡も同様に手入れされれば、地域の皆さんにとって喜ばしいことかと。振り返って、「オール医師会」の掛け声通りに東京一極となることなく、地域の医師会の意見・立場が今まで以上に尊重されることが望まれた。いつもより人通りの少ない東京を離れる。当日、東京では57名新規COVID―19陽性者が出たようだ。(翔)