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医師・医療関係者のみなさまへ

在宅療養における看取り等研修会(訪問看護師向け)

府医ニュース

2020年2月19日 第2919号

看取りは患者との対話の繰り返し

 在宅療養における看取り等研修会が令和元年11月23日午後、大阪市内のホテルで行われた。本研修会は「大阪府在宅医療総合支援事業」として府内各地で実施しており、今回は大阪府訪問看護ステーション協会の協力を得て開催。在宅医療・介護連携担当医師、警察医・監察医、訪問看護師など多職種ら約120人が聴講した。
 当日は、宮川松剛・大阪府医師会理事が開会あいさつを行い、真嶋敏光氏(府医介護・高齢者福祉委員会委員)が座長を務めた。
 まず、菅沼一郎氏(大阪府健康医療部保健医療室保健医療企画課)が、「大阪府における死因調査体制の整備にむけて」と題して講演し、適切な死因を特定する死因調査体制の確立に向け、制度の更なる充実への協力を要請した。
 次いで、横山頼子氏(済生会野江訪問看護ステーションがん性疼痛看護認定看護師管理者)が「在宅医療における看取り」と題して講演。大阪市城東区の終末期医療に関する住民アンケートでは、「回復の見込みのない状況において、どこで過ごしたいか」の問いに、本人・家族ともに自宅を希望する割合が多いことを紹介した。また、看取りをする上では、その人の死生観・人生観にふさわしい人生を最期まで送れるように支援することが重要と言及。療養生活支援の専門家である看護職が、本人や家族との対話を繰り返す中から、本人にとって最善の生き方を考え続け、共有しなければならないと説いた。
 続いて、河野朗久氏(河野外科医院/大阪府監察医・大阪府警察医)が「在宅医療での看取りと死亡診断について」と題して講演を行った。河野氏は、人生の最期を自宅で過ごしたいという人が増えてきている一方、自宅で亡くなった場合にはほとんどの事例で異状死の届けがなされると説明。それにより警察医と監察医の負担が増大し、加えて遺族の精神的・経済的・時間的負担が増していることを問題視した。その上で、在宅や施設で医師が継続して診療を行っている場合は、医師自ら検案をすれば、その場で死亡診断書を発行してよいことを加えた。また、在宅や施設でのACPについて、自らの在宅医療の体験を交え、患者との日常会話の中に、穏やかな看取りと遺された家族のケアにつながるポイントがあるとまとめた。