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時事
府医ニュース
2018年6月6日 第2858号
4月27日付で、厚生労働省から「第3期特定健康診査・特定保健指導に関するQ&A集」が公表された。Q&A集はこれまでも随時、追記・修正が行われてきたが、今回、この4月から6年間実施される第3期の運用に即した記載に改められた。8項目に分類された約150の質問と回答からなる。
今年度から、血糖検査について、やむを得ず空腹時(食後10時間以上)以外に採血を行いHbA1cを測定しない場合、随時血糖(食事開始時から3.5時間以上)検査を行うことが可能となった。疑問を持たれていた食事開始後3.5時間未満の採血の取り扱いは、「随時血糖による血糖検査はできず、欠損しているものとして取り扱う。このような場合については、別途保険者で血糖検査のみ実施し補う必要がある」とされた。
以下の事項に関しては、従来どおりである。▽空腹時血糖とHbA1c:両方を測定している場合には、空腹時血糖値を優先し階層化▽中性脂肪:空腹時に測定することが望ましいが、食事を摂取して来てしまった場合でも同じ基準値で判定▽詳細な健診:高血圧、不整脈等の疾患により医療機関において管理されている者については、基準に合致していても実施する必要はないのが原則▽眼底検査:手持式、額帯式、固定式等の電気検眼鏡または眼底カメラ撮影により実施▽事業者健診:保険者が行う特定健診は他法優先であることから、事業者は労働安全衛生法に基づき実施する義務▽診療との同時実施:特定健診は診療ではないので混合診療とはならず、可能。重複部分の費用の取り扱いについて、1.契約単価が明確な特定健診を優先し、それ以外の部分を診療として実施、2.診療としての検査等を優先的に行い、特定健診として不足している部分について、保険者と当該医療機関で実施単価を取り決め実施する方法がある。
また、制度発足10年を迎え、想定されにくい質問が削除(外部委託やデータに関する項目が大きく削減)されたが、運用自体には変更がないため、これらについては、引き続き第2期のQ&A集を参照することとなっている。このカテゴリーには、今回の制度改正で対象者の大幅な増加が見込まれ、地域での受け皿作りが課題となる眼底検査に関した「特定健診を受託するにあたっては、各健診機関(医療機関)ごとに基準を満たす必要があるため、眼底検査を実施できない健診機関は、各々委託先を事前に確保し、重要事項に関する規程の概要にその旨を記載し公表しておく必要がある」等も含まれるため、参照すべき内容は、実質的に二百数十項目となる。
新しい期に入ったことを機に、今一度確認しておくことも有用であろうが、あらためて複雑な仕組みであることがよく分かる。今年度から健康保険組合のペナルティ(健診受診率や保健指導実施率が基準以下の場合における後期高齢者支援金の加算)が段階的に引き上げられる。細かなルールもやむを得ないところ、なのか――。(学)