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医師・医療関係者のみなさまへ
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時事
府医ニュース
2018年5月30日 第2857号
患者の希望に応じた看取りの実現を目標に、患者の死亡直前における医療・ケアの評価はきめ細かく設定されてきている。具体的には、医療機関では在宅ターミナルケア加算や看取り加算などが、訪問看護ステーションでは診療報酬の訪問看護ターミナルケア療養費と介護保険のターミナルケア加算が、特定施設や特別養護老人ホームでは看取り介護加算が、小規模多機能居宅介護では看取り連携体制加算が設けられている。患者の希望場所に応じた看取り体制の整備を目指してきた結果といえるが、ターミナルケアを医師以外の職種も担当しつつあることも注視すべきである。
在宅療養支援診療所(在支診)や在宅療養支援病院(在支病)の届け出件数が伸び悩む中、在宅患者訪問診療料を複数医療機関が算定できることとなったことにより、やり方次第では在宅医療の質の向上のみならず、ターミナルケアや看取りの負担も軽減されることとなったが、複数医療機関によるチームの構築が必要であり、医師会の果たす役割が重要となった。
更に、機能強化型在支診・在支病の看取り実績要件の緩和は、機能強化型在支診・在支病の維持には大きく貢献すると思われる。すなわち、あらかじめ聴取した患者・家族の意向に基づき、受入医療機関で7日以内の入院を経て死亡した患者に対し、当該医療機関が当該入院日を含む直近6カ月間において訪問診療を実施していた場合も、近畿厚生局に届け出る看取りの実績に含めることができることとなった。
緊急往診加算の対象が、往診の結果、急性心筋梗塞、脳血管障害、急性腹症等が予想される場合に加えて、医学的に終末期であると考えられる患者にも拡大された。一方、末期がん患者については、在宅医がケアマネジャーに予後や今後想定される症状の変化などを適時情報提供することを在宅時医学総合管理料(在総管)と在宅がん医療総合診療料の要件に追加した。
在宅で死亡した患者(往診または訪問診療を行った後、24時間以内に在宅以外で死亡した患者を含む)に対して、その死亡日および死亡日前14日以内に、2回以上の往診または訪問診療を実施した場合(在宅患者訪問診療料Ⅰを算定する場合に限る)に加算される在宅ターミナルケア加算が増点された。また、特別養護老人ホームが看取り介護加算を算定しても、外部の医療機関は在宅患者訪問看護・指導料への在宅ターミナルケア加算の算定が可能となった。
地区医師会はチーム医療体制を構築すること等により、ターミナルケアや看取りに対応するシステムづくりをすることが求められている。(中)