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医師・医療関係者のみなさまへ

第310回 府医臨時代議員会

府医ニュース

2018年4月4日 第2852号

医療取り巻く「諸課題」全力で対応
府医看護専門学校閉校へ 財政状況など考慮「断腸の思い」

 第310回大阪府医師会臨時代議員会(岡原猛議長/定数270人)が3月22日午後、府医会館で代議員195人の出席により開催。平成30年度府医事業計画・予算について報告が行われたほか、2題の議事が提案され、挙手多数で承認された。

茂松会長 続投の意志を表明

 冒頭、3月7日に逝去した植松治雄顧問の冥福を祈り黙祷が捧げられた。茂松茂人会長はあいさつで、植松顧問の訃報に「心に穴が開いた」と吐露する一方、「国民医療を守る姿を目に焼き付けてきた」と述べ、この信念を受け継ぎ、努力していくと誓った。
 続いて、医療情勢などに関する所感を表明した。全世代型の社会保障への転換方針が打ち出され、「社会保障を持続可能とするには財政健全化が不可避」との政府見解の下、新たな社会保障費の抑制が提示されるのではないかと警戒。あわせて、法人税率の引き下げ等で企業の内部留保が400兆円超に達している現状を踏まえ、働く人への還元を検討すべきと論じた。また、世界医師会長を務めたサー・マイケル・マーモット氏の著書「健康格差」を紹介。公的な社会保障の減少が健康格差の拡大をもたらすことが疫学調査で裏付けられたことを示し、社会保障への重点的な配分こそが健康格差の解消につながると力を込めた。30年度診療報酬改定のうち、新たに設定された「オンライン診療料」は、対面診療を原則とすることや患者数の制限など、算定要件が厳しく設定されることになったとしつつ、一部で規制緩和を求める声もあると指摘。個人情報漏洩の危険性や、安全性の担保などが十分ではない中、厳しい姿勢で対応していかなければならないと強調した。「かかりつけ医機能の評価」では、かかりつけ医を受診した場合の定額負担の導入などにつながらないよう、一層の警戒を要するとした。なお、喫緊の課題である「医師の働き方改革」については、「医療とはどういうものか」を見直す機運にしなければならないと訴えた。
 あいさつの結びにあたり茂松会長は、議題に上程した府医看護専門学校の今後の運営方針に触れた。諸事情を勘案し、「断腸の思い」で看護師養成に関する事業の廃止を提案したいとして、慎重な議論を求めた。また、新執行部発足から6月で2年を迎えるが、大過なく会務を遂行できていることに改めて謝意を述べた。その上で、残りの任期を全うするとともに、来期も続投する意志を表明し、更なる支援・協力を要請した。

30年度事業計画 予算を報告

 中尾正俊副会長が30年度府医事業計画(2・3面参照)の概要を述べた後、北村良夫理事(経理担当)が30年度予算(経常収益計:33億3069万4千円、経常費用計:32億3872万9千円)を報告した。なお、事業計画および予算は、法人法改正に伴う新たな府医定款により、理事会で新年度事業計画案・予算案を確定し、代議員会において報告している。
 議事では、はじめに北村理事が29年度府医会費減免申請の承認に関して説明。挙手多数で可決決定された。続いて、加納康至副会長(府医看護専門学校副学校長)が、府医看護専門学校の沿革を述べた後、今後の在り方を提案(概要については別掲参照)。審議の結果、異議なく了承された。これを受け、府医看護専門学校の学生募集は2019年度を最終とし、2022年3月末をめどに、看護師養成事業に終止符を打つこととなった。

府医看護専門学校の沿革および今後の方向性

 大阪府医師会看護専門学校は、昭和30年4月、府医附属准看護学院として開校以来、半世紀にわたり、府民に良質な医療を提供するため専門職養成の機能を果たすべく幾多の改革を実施。看護師不足が社会問題となる中、48年には大阪府衛生対策審議会の答申を受けて整備が図られた。当時、看護師養成所建設の費用は相当額の公的支援があり、運営費に対しても、国や大阪府・大阪市から補助金が交付されてきた。51年に現在の校地(大阪市天王寺区南河堀町)に新校舎を建設、翌52年4月に現校名となった。現在は学生定員480名を有する大規模養成校として、府内の看護師不足の解消に大きな役割を果たしてきた。看護師養成は本来、公的な責任においてなされるべきであるにもかかわらず、最近では、大阪府・大阪市の財政再建を名目に、一方的に補助金が打ち切られた。本会は設置者として、毎年大きな財政的負担を伴い運営してきたが、卒業生の就職先は国公立・公的等病院が大半を占め、この8年間で診療所等への就職は3件に留まっている。
 伯井俊明前会長は、看護専門学校の運営に対する公的支援が縮小される中で医師会本体への財政的しわ寄せが極めて大きいとして、医師会が看護師養成を行う社会的使命は終えているとし、「看護師養成事業からの撤退」を公約に掲げ、平成22年の執行部発足と同時に対応を検討。茂松茂人執行部においても、あらゆる選択肢を排除せず、教職員の雇用維持、事業撤退に伴う本会の財政的負担を最小限に留めることを前提に模索してきた。この間、補助金が削減され続ける中でも経費節減と経営努力に努めてきた。しかし、老朽化した校舎の維持・再整備には莫大な費用を要する。また、経費節減の影響で必要な教材の更新や図書の補充もままならない状況が続き、適正な教育活動・教育環境の維持が従来以上に困難となってきた。更には、大学看護学部の設立による影響で、受験者数の減少、臨地実習施設の実習受け入れ制限・単価の値上げなど、学外実習を行う環境も激変している。優秀な専任教員の確保、教育の質を維持することも極めて難しい――こうした理由により、本会看護専門学校の学生募集を縮小、停止せざるを得ないものと判断した。
 今後の運営方針としては、本校建設にあたり補助のあった昭和50年度から、「補助事業等により取得し、又は効用の増加した財産の処分制限期間」に定められた47年を迎える2022年3月末日をめどに、すべての在校生の卒業をもって看護師養成事業を廃止することとし、看護専門学校の閉校までの経過としては、2019年度の募集を最終年度として、定員を160名から80名に減らし規模の縮小を図りたい。