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医師・医療関係者のみなさまへ
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府医ニュース
2017年11月29日 第2839号
藤井寺市医師会(藤本恭平会長)は10月21日午後、同市内で「目と老化のはなし」をテーマに市民公開講座を開催。約180人の市民が参加したほか、来賓として國下和男・藤井寺市長が出席した。
長崎雄二・同市医師会副会長が司会を務め、はじめに藤本会長があいさつ。眼科医である藤本会長は、「『見え方』の質」を意味する「クオリティー・オブ・ビジョン(QOV)」に触れた。QOVの向上は快適で安全な生活の一助になるだけでなく、認知機能にも影響すると言及。本講座を契機に、目の疾患への早期発見・早期治療へとつなげてほしいとした。
続いて、「老化に伴う目の病気について」と題し、同市医師会員の眼科医による講演が行われた。今井清美氏は「総論」として、目の仕組みと働きのほか、加齢による変化などを解説した。また、目以外の疾患でも「見えにくさ」「かすみ」などの症状が出ると指摘。異常があれば速やかに眼科を受診するよう促すとともに、定期検診を受け、快適な日常を過ごしてほしいと呼びかけた。「各論」では、高齢者に多い疾患が取り上げられた。清水尚子氏は白内障の症状や診断を説明したほか、眼内レンズを挿入する手術の模様をダイジェストで紹介。安全性が比較的高く、所要時間も短いため、体への負担も低いと述べた。錦織里子氏は緑内障に関して、クロックチャートによる視野のチェック方法を伝授。視野の低下を遅らせるには眼圧の適正なコントロールが不可欠として、継続的な治療が重要であるとした。加齢黄斑変性症については森川典子氏が解説。網膜の中心にある黄斑に変化が生じ、視力低下のほか、「ものがゆがんで見える」などの症状が出現するとした。予防策として食生活やライフスタイルの改善を挙げるとともに、アムスラーチャートを用いた自己チェック法を示した。
藤本会長は総括で、病気と上手に付き合い、気になる症状があれば医師とよく話し合ってほしいとまとめた。会場からは、「白内障の手術のタイミング」「緑内障の『緑』の意味」「加齢黄斑変性のiPS細胞網膜移植」などの質問が寄せられ、それぞれに丁寧に応じた。