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医師・医療関係者のみなさまへ

主治医意見書作成に関する説明会

府医ニュース

2017年11月29日 第2839号

記入のポイントや意義、理解促す

 平成29年度「主治医意見書作成に関する説明会」(大阪府医師会・大阪府・大阪市主催)が10月28日午後、府医会館で開催され、約230人の会員が研鑽を積んだ。
 要介護認定では、主治医意見書での評価を踏まえ、介護サービス申請者の心身の状態や介護にかかる手間などを検討。このため、主治医意見書の果たす役割が非常に重要となる。一方で、病院勤務医に対する主治医意見書の作成依頼が増加。主治医意見書の意義や役割、記載のポイントなどを勤務医が深く理解することで、認定審査の迅速化や勤務医の負担軽減につながるとされている。
 司会・座長は黒田研二氏(府医介護・高齢者福祉委員会委員長)が務めた。はじめに宮川松剛理事があいさつ。地域包括ケアシステムの構築が進められる中、多職種連携は不可欠であるとした。また、今回の説明会開催にあたり、各病院にポスター掲示を依頼するなど周知拡大を図ったと報告。すべての医療機関で日常診療の一助となるよう期待していると語った。
 続いて、鹿島洋一氏(同委員会委員/和泉市・新仁会病院長)が、「主治医意見書記入の留意点」と題して講演を行った。冒頭、和泉市の要介護認定者数の推移を示し、高齢化に伴い、審査件数・認定者数とも増加していると指摘。大阪府の要介護認定率、1人当たり介護費は全国トップであるが、府内での地域差拡大も予想されるとした。
 その後、主治医意見書を記入する際の留意点を説明。「疾病に関する意見」欄は、「介護を行う上で負担となる疾患名」「介護の程度に関する症状の安定性」「現状の評価ではなく、近い将来に必要とされるサポート」――を記載するよう促した。更に、「特記すべき事項」の箇所に関しては、未記入ではなく「なし」と明示することや、介護認定審査会への情報伝達、ケアマネジャーへの意見を盛り込むことが望ましいと述べた。
 行政側からは、はじめに山本千賀子氏(大阪府福祉部高齢介護室介護支援課利用者支援グループ課長補佐)が登壇。「介護保険制度における主治医意見書の役割」として、大阪府の介護行政の現状と課題に触れた。特に要介護認定は、「申請から30日以内が原則」とされているが、主治医意見書の提出の遅れや申請件数の増加により、超過するケースが散見されると報告。早期提出を呼びかけるとともに、申請者が必要な時期に介護サービスを利用できるよう、入院時に相談があれば助言してほしいと要望した。また、岩﨑由香氏(大阪市福祉局高齢者施策部介護保険課認定グループ係長)は、「要介護認定における審査判定について」と題し、要介護認定までの流れ、認定調査、審査判定の手順を詳細に説明した。